RECORD
Eno.38 穂叢 焔芽の記録
縛り
リオンのことでユキに話があって、局の駐屯地に足を運んだ。
そしたら帰り際、ちょうど「恋愛について分からないから教えて欲しい」みたいな話が上がり
それから恋愛に関する話題がしばらく続いた。
僕もチラと、嫉妬や羨望と並んで恋愛感情が分からないって零して
その流れでユキや弌代なんかと少し話をした。
──『自分から意識して距離や壁を作ってる人』にそんな感情なかなか生まれませんよ。
──自分を縛り付けてるようなものですし、感じる前に無意識に拒絶してる何かがあってもボクは驚かないです。
そうだな、僕は自分を縛り付けている。
人に避けられ続けた挙句に、避けられないために作ったルール
自分が、自分自身にだけ課した不文律
この原則と、己の臆病さによって、僕は僕を縛り付けている。
自分が最も信用ならないから。
他人に共感することが下手クソで、自分の感性では間違いを起こすから。
中学生に上がったばかりくらいの僕には、他人と接するための知識もなかったから。
だから、強めの制約を作り上げた。
それが僕の不文律
理由なく人の事情に踏み込んではならない。
正当な理由を持たない限り、僕から他者に踏み入ってはいけない。
そうしなければ、また僕は皆に避けられていくから
だから必ず許可を求め、関わる理由を探す。
……そろそろ、変えたって良いはずだ。
この縛りを破棄しても問題ないはずだ。
決して完璧でないし、きっと過ちを犯すが、次の段階に進んでも良いはず
拒まない相手には歩み出す勇気を持ち、壁を抱える相手には見守る配慮を持ち
そのバランスを、加減を、自らの頭と心によって制御する段階へ。
もしも何かを誤った時に、もたらされる結果は離別だ。
嫌われ、僕から離れていってしまう。
正直、それはすごく嫌だ。
知人や友人たちには、幸いで、息災で、僕の近くに同じように在ってほしい。
同じように在り続けて、その中で少しずつ何を思うのか教えてほしい。
それが僕の過ちで、僕の手によって、損なわれてしまうから。
とはいっても。
だからと言ったって、ずっと怖がってるわけにもいかないのだ。
逆に考えよう、裏の事件で誰かが消えるよりはマシだ。
僕から距離を取って、どこかでは元気でやってるだろうから。
死亡、行方不明、そういうのより1000倍はマシだ。
──自我があるから、きっと楽しいんだよね
リオンの言う通りだ。
僕だって分かってるはずなのに、人であるなら在って然るべきはずなのに
制御する自信がないから、これを恥ずべきものだと思っている。
人に共感するのが下手クソだから。
でも、共感したくて、共有したいのは事実だ。
知ること、知られること、教えること、教わること
相手との違いを探し、共通点を探して、そのことに対して一喜一憂する。
同じ部分があれば、相手とそのことを分かち合う。
違う部分があれば、相手の考え方を自分の中へ取り込んでいく。
リオンと話していて改めて思った。
僕は、僕らはこういうものだ。
この情動を偽ることは決してできない。
相手との関わり方、相手の好ましいと思う接し方
それすら探究の対象にして、情動を満たし続ける他にない。
──見聞きし、その上で知る事は出来ず、体験もできない。
──他者に話を聞く"だけ"では答えは出ないと予想するよ
知りたい。理解したい。
君たちが何を想い、君たちがどう考えるのか。
可能であるなら理屈でなく、同じような心の働きとして
君らが感じているものを、同じように感じる感性が欲しい。
壁など作り、距離を置くなんて
それは、共感を求めるにあたっては最も不要なものだ。
人がどう思うか分からないからと恐れるなら、分かるまであらゆる手段を講じる。
それだけの熱意を、僕は持ち合わせているはずだ。
怖いな。これは恐怖だ。
例の一件で人の死を想起して依頼、だいぶ恐怖というものが実感を帯びてきている。
戦闘で友人が大きな怪我をした時に、焦りが湧くようになった。
たぶん恐怖という感情の解像度が上がったんだろうな。
だから自分の傍から、誰かが居なくなることにも怖いと感じるようになった。
……それでも僕は、このようにしか在れないのだけど。
そしたら帰り際、ちょうど「恋愛について分からないから教えて欲しい」みたいな話が上がり
それから恋愛に関する話題がしばらく続いた。
僕もチラと、嫉妬や羨望と並んで恋愛感情が分からないって零して
その流れでユキや弌代なんかと少し話をした。
──『自分から意識して距離や壁を作ってる人』にそんな感情なかなか生まれませんよ。
──自分を縛り付けてるようなものですし、感じる前に無意識に拒絶してる何かがあってもボクは驚かないです。
そうだな、僕は自分を縛り付けている。
人に避けられ続けた挙句に、避けられないために作ったルール
自分が、自分自身にだけ課した不文律
この原則と、己の臆病さによって、僕は僕を縛り付けている。
自分が最も信用ならないから。
他人に共感することが下手クソで、自分の感性では間違いを起こすから。
中学生に上がったばかりくらいの僕には、他人と接するための知識もなかったから。
だから、強めの制約を作り上げた。
それが僕の不文律
理由なく人の事情に踏み込んではならない。
正当な理由を持たない限り、僕から他者に踏み入ってはいけない。
そうしなければ、また僕は皆に避けられていくから
だから必ず許可を求め、関わる理由を探す。
……そろそろ、変えたって良いはずだ。
この縛りを破棄しても問題ないはずだ。
決して完璧でないし、きっと過ちを犯すが、次の段階に進んでも良いはず
拒まない相手には歩み出す勇気を持ち、壁を抱える相手には見守る配慮を持ち
そのバランスを、加減を、自らの頭と心によって制御する段階へ。
もしも何かを誤った時に、もたらされる結果は離別だ。
嫌われ、僕から離れていってしまう。
正直、それはすごく嫌だ。
知人や友人たちには、幸いで、息災で、僕の近くに同じように在ってほしい。
同じように在り続けて、その中で少しずつ何を思うのか教えてほしい。
それが僕の過ちで、僕の手によって、損なわれてしまうから。
とはいっても。
だからと言ったって、ずっと怖がってるわけにもいかないのだ。
逆に考えよう、裏の事件で誰かが消えるよりはマシだ。
僕から距離を取って、どこかでは元気でやってるだろうから。
死亡、行方不明、そういうのより1000倍はマシだ。
──自我があるから、きっと楽しいんだよね
リオンの言う通りだ。
僕だって分かってるはずなのに、人であるなら在って然るべきはずなのに
制御する自信がないから、これを恥ずべきものだと思っている。
人に共感するのが下手クソだから。
でも、共感したくて、共有したいのは事実だ。
知ること、知られること、教えること、教わること
相手との違いを探し、共通点を探して、そのことに対して一喜一憂する。
同じ部分があれば、相手とそのことを分かち合う。
違う部分があれば、相手の考え方を自分の中へ取り込んでいく。
リオンと話していて改めて思った。
僕は、僕らはこういうものだ。
この情動を偽ることは決してできない。
相手との関わり方、相手の好ましいと思う接し方
それすら探究の対象にして、情動を満たし続ける他にない。
──見聞きし、その上で知る事は出来ず、体験もできない。
──他者に話を聞く"だけ"では答えは出ないと予想するよ
知りたい。理解したい。
君たちが何を想い、君たちがどう考えるのか。
可能であるなら理屈でなく、同じような心の働きとして
君らが感じているものを、同じように感じる感性が欲しい。
壁など作り、距離を置くなんて
それは、共感を求めるにあたっては最も不要なものだ。
人がどう思うか分からないからと恐れるなら、分かるまであらゆる手段を講じる。
それだけの熱意を、僕は持ち合わせているはずだ。
怖いな。これは恐怖だ。
例の一件で人の死を想起して依頼、だいぶ恐怖というものが実感を帯びてきている。
戦闘で友人が大きな怪我をした時に、焦りが湧くようになった。
たぶん恐怖という感情の解像度が上がったんだろうな。
だから自分の傍から、誰かが居なくなることにも怖いと感じるようになった。
……それでも僕は、このようにしか在れないのだけど。