RECORD

Eno.38 穂叢 焔芽の記録

幕間:不文律

穂叢焔芽の不文律。

ひとつ、己の思考と思想を明確にし表明すること。
ひとつ、己の表明を他者の否定としないこと。
ひとつ、興味を以て他者へ踏み入る免罪符としないこと。


踏み入ることを望むなら、常に相手から望まれていない可能性を考えること。

何かを好ましいと思うほど、僕は深く知りたいと願う。
人には自ら打ち明けるまで、知られたくない事情がある。


僕が誰かのことを知りたいと希求するように
誰かは自らのことが知られるのを厭う。

踏み込むならば同意を。
押し入るならば覚悟を。
飛び込むならば器量を。


それぞれ好むところと、嫌うところは異なる。
必ずしも全ての相手にとって、知ろうとすることは悪ではない。
全ての相手にとって、知ろうとすることが善でないように。

いずれかでも持てないのなら、己に知る権利はない。
たとえ、どれほど好ましいとしても。


故に探求すること。
全ての人間に対して、其れが良しとする範疇を見極める。

純粋さも無垢さも、この気質も、相手を対等に置かない理由とはならない。

無垢さ故にこそ
ただ己が欲するところが、人を好きだと思う故にこそ
この気質がら相手を対等に置かない理由とはならない。