RECORD

Eno.251 鳴宮優希の記録

【1.友達、というもの】

 
 陽出高等學校に行った。
 ゴールデンウィーク明け、いつもの授業。
 僕は“優等生”だから、いつも通り真面目に聞いていて。
 あぁ、だけど周りはサボる人ばかりで、呆れた。

 僕の呟きを聞いた大御門先輩が、教えてくれた。
 学生生活には、遊びも友達も必要なものなのだと。

「……遠ざけて、きてたのに」


 心の中、否定の声が強くする。
 友達も遊びも、知らなかった。

 困っていた僕に、大御門先輩は
 『友達の作り方を教えてあげる』と言ってくれた。

 何かが、変わった気がした。
 新しいものが、見えた気がした。
 僕は、不安だったけれど嬉しかったんだ。

「……ありがとう、大御門先輩」



  ◇

 翌日。大きなパーティーがある? と聞いたけれど、
 僕はどうにも動けなくて、自習して帰ろうとして。
 ……大御門先輩の言葉が心に引っ掛かっていた。
 だから寄り道をしようとして、

「…………」


 ゲームセンターで、迷子に、なった。
 そしたら昨日、少しだけ話した葦原くんと、
 そこにいた御廊守くんがゲームのやり方を教えてくれて。

 クレーンゲーム。ようやく取れた景品。
 チョコが3袋。3人で分け合って食べた。嬉しかった。
 お母さまの料理よりも美味しかった。
 そう思うのは、駄目なことなのに。

「僕ら……
 友達に、なれた、かな」


 当たり前だろと蒼真は言った。
 俺で良ければと奏翔は言った。
 そうして僕らは友達になり、SURFを交換したんだ。

 クレーンゲームは楽しかった。
 友達が出来て嬉しかった。
 いつぶりの感情かな。なのに罪悪感を覚えるのはどうして?

 お母さまは、何て言うだろう。
 ねぇ、ねぇ。良い子にしているから。
 友達を作るぐらい、どうか許して欲しい。
 
 帰った後が怖い。お母さま、怒らないで。
 
 まだ、“好き”を上手く言えない。
 否定の声が、消えてくれない。
 “好き”を言おうとしたら、息が出来ない。
 だってさ。僕の初めての“好き”はさ──

 苦しい。
 友達が出来たのに、まだ、息が吸えない。
 胸が痛い。苦しいよ。ねぇ。
 おかあさま。


 苦しさはどうにも消えてくれないけれど。
 この“友達”という存在は、
 僕にとって確かな道しるべになりそうで。
 色々と知っていくよ。楽しいことも、いっぱい。

 だからそんな目で見ないで、お母さま。
 生まれた罪は、ちゃんと償うから。