RECORD

Eno.712 茅鳴 ほみの記録

茅鳴ほみの視界 #0

赤と黒の黄昏。
油の浮いた水たまり。
理解を拒む暗闇。
沈み込む袋小路。

ちいさな煙が立った。
かすかな光が照らした。
たしかに気配を揺らした。

足音。

それは立ち上がるように伸びた。
それは窺うように曲がった。
それは観察するように止まった。

闇のように黒いそれは、火を受けて七色を返す。

彼は目が合ったように感じただろう。
それには瞳も、かたちも、
意味も、意志も、意識もないかもしれないのに。

──その時彼は、
はじめて科学以外のものを目の当たりにして、
まだ神秘という理解を得る前に。

それに。



きっと、魅せられた。

やがて、証人を得たそれは、
ルールの中に収められる。