RECORD

Eno.367 日上 晴の記録

記憶

目の前の怪奇が倒された。
雨で、貫かれた。
そんなことあるのか、と思ったけど、

『わかったでしょう?』



彼女が助けてくれたことで、身体を打つ雨が冷たいことで、あぁ、これは夢ではないんだと思えてしまった。
それと同時に、気づいてしまったこともある。

いなくなったみんなは、本当にあの向日葵怪奇に襲われてしまった。のかと。

『だから、あなただけでも逃げるの。』



また言い続けている。
だったらどうして、


「なんで、アレはあんたを殺そうとしているんだよ。」

ひとつの疑問だった。
何か余程の恨みでもあるのか。
というか、怪奇とやらにもそんな感情はあるのか。

『…』


『私が、彼らの場所を奪ったから。でしょうね。』



答えは案外すぐに返ってきた。

…いわゆる、縄張り争い。
俺たち人間は、それに巻き込まれてしまったと言うことなのか。
それがしっくりきた。けれど許せない気持ちもあったりした。
何より、人間を襲うなんて。

『…あなたの言いたいことは、わかるわ。』


『だから、私はあなたを、人間を逃がさないといけない。』


『……私のせいだから。』



あぁでも、
目の前にいる彼女は、悪い存在ではないのだろうと思った。
人間みたいに、動物みたいに、
攻撃する者もいれば、おとなしいまたは優しい者もいる。

「…名前は。」

もうひとつ気になったので問いかけた。
すると、彼女は困った顔をした。

『……』


『名前らしい名前かどうか、わからない。』


『それに、知らない方が、良いのかもしれない。』



言っていることが、よくわからない。
けど、名前がわからないようじゃ、少しの間なんと呼べば良いのかわからない。

考えた。

考えて、考えて、考えて辿り着いた結論は。



「じゃあここにいる間、俺はあんたのことを、」





































「"夢雨"って呼ぶよ。」