RECORD
Eno.357 李 莱姆の記録

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願いごと。忘れたいこと。
それを紙に書いて舟を折り、河に流すのだそうだ。
──らしくない。
らしくないな。
我ながらそう思う。
浮かんだ考えは全部そこに押し込んで、
震える指先で折り畳む。
──この一瞬の狼狽も、
悟られなかっただろうかと肝を冷やしながら。
薄暗い河原に逃げ込んで、早々に錨をあげた。
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知っているよ、らしくないこと。
そんな僕を知っていてくれて、ありがとう。

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𝗟𝗜𝗦𝗧 𝗡𝗼:𝟬𝟲

「私とて君達のこと見てるからね
それなりに理解をしているつもりだよ」少し意外そうに小さく首を傾げた。
願いごと。忘れたいこと。
それを紙に書いて舟を折り、河に流すのだそうだ。
──らしくない。
らしくないな。
我ながらそう思う。
浮かんだ考えは全部そこに押し込んで、
震える指先で折り畳む。
悟られなかっただろうかと肝を冷やしながら。
薄暗い河原に逃げ込んで、早々に錨をあげた。
「んはは。見えない?」
「正解……」
取り出したボールペンは懐にしまって、
特に何も書かないまま船だけ折り始めた。
便乗だけしたかったんだね。
河川に歩み寄り、送り出す。
「僕のこといくつだと思ってるの〜」
未成年かも。
知っているよ、らしくないこと。
そんな僕を知っていてくれて、ありがとう。
だからどうか、
この先も、

この航海は知らないでいて。

