RECORD

Eno.367 日上 晴の記録

記憶

考えた名前を呼べば、困った顔をした。
それもそうか、なんでって思うだろうよ。

だけど、彼女はそれで良いと受け入れてくれた。
あんまりにもあっさりしてて、良いのか?と疑問に思ったほどに。
でも、本人が良いなら良いか。


「そういえばさ、あんたもあぁいう奴ら怪奇と同じもんなの?」

縄張り争いみたいなことをするみたいだし。
そこも気になった。

「…」


「近い存在、かもしれない。」



けど、答える彼女は、複雑そうな顔をしていた。
人ではないことは確かだろうけど、何者なのか。

「…そっ、か。」

…いや、今気にしている場合じゃないか。


「とにかく、他の人を捜さないと。」
「…せめて、あの人たちも、無事なら一緒に出たい。」

ほんの少し、心の何処かでまだ無事だと願っていた。

だから俺は、彼女の制止を振りきって雨の中を走り出した。





この時、ちゃんと彼女の言葉を聞くべきだったとあとになって思い返してしまった。