RECORD

Eno.610 幺幺山 美兎の記録

無題


目の前で、りゅー先輩が戦意を喪失した。
ぞわ、と全身の毛が逆立つような感覚と共に力を行使していた。
受講していた『神学儀礼文化学』の奇跡で、復帰させる事は叶ったけれど。

結局周辺の敵に囲まれて、再度床に引き摺り落とされたのを思い返して鬱。
結局痛い思いを二度させただけ。それでも、呼び戻す・・・・事は出来るらしい。
完全、とまではいかずとも、りゅー先輩の傷を殆ど治せていた。
上手くやれば完璧な蘇生も夢ではないのかもしれない。


『時には、とても強い祈りで、倒れてしまった方をもう一度呼び戻すことだってできるのですよ。
 …まあ、あまり頼りすぎるのは、いけませんけれどね。
 たとえ小さくとも、これは確かに理へ触れる行い。慣れぬうちは消耗の大きさに戸惑うことでしょうから』



ただ、確かに消耗が大きくて、床から起き上がれない。
身体中が怠くて、何かが抜け落ちたような感覚と達成感。





目を瞑る。
倦怠感に身を任せる。
床が冷たくて心地良い。
今日はこのまま眠ってしまおう。
先輩の腕の中に収まりたいけれど。
もう、そこに向かう体力は尽きたみたいだ。








……。

ところで、童話のお爺さんが犬の灰を木に振り掛けて花を咲かせたのなら。
美兎は何を使って桜を咲かせているんだろう。



……。

酷く億劫。もう眠ろう。