RECORD

Eno.156 都敬 柊の記録

ついてくる

───歩く、歩く、歩く。


どこまで進んでも見知った景色が見えてこない。
歪んだ街並み、明けも暮れもしない茜空。
いつもは落ち着く筈の色が、今は酷く心を騒がせる。


「ここって……、」




一度迷い込んだ、あの場所だ。
世界の裏側。

足元には長い影。自分のものと、背後にいる誰かの。いや、"何か"の。
この先を知っている。知っているのに、足は止まらない。



偽物の街を歩き続ける。影はついてくる。

歪な風景を歩き続ける。影はついてくる。

赤く染まった景色を歩き続ける。影はついてくる。

行き止まりが見えてくる。影はついてくる。

突き当りについてしまった。影はついてきた。



「………っ、………、…」




上手く息ができない。嫌な汗が止まらない。
心臓が破裂しそうなほどに早鐘を打っている。

ずっと、ずっとずっとずっと影は呼びかけてくる。
一歩ずつ近づいて、近づいて。





手が触れた。


「──────!!!」




「……、ゆ…夢…………」