RECORD
Eno.46 篠目 樹の記録
act 4
「うっるざいんだよ……!
はやぐ出ていっでぐれ!!
もうぐるな゛………!!!」
「……分かった」
俺と親父さんとの最初の対面は最悪だった。
裏世界の教会で意識を失った後、神秘管理局の救護室に搬送されたらしい。
目が覚めた後は事情を聞かれたり怪我の様子を診て貰ったりしたが余り記憶に残っていない、別のことに気を取られていたから。
そんな様子を見かねた衛生課の方がどうかしたかと訊いてくれたら多分こう答えた。
「お腹空いた」
そう言ったら大きな腹の音が鳴った筈。
衛生課の人は多分笑ったか謝ったかしてくれた後に食事を用意してくれたんだと思う。
何を用意をされたかもはっきり覚えてはいなかった。ただ腹が減ったから腹に詰めた。
食べた、食べて、食って食べて食べた。
食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて
「おぇ」
途中で食えなくなった、腹が減っているのに脳は満腹だって伝えてきて目の前が渦巻いて。それでも食べ物を口に運ぼうとし続けて。
途中で衛生課の方が取り押さえてくれなければもっと酷いことになっていたんだと思う、それも記憶に残ってないが。
取り押さえられた後、身動き出来ないように体を固定された上で点滴で栄養剤を打って貰って何とか生きてた。
生かされているだけの状態だった。何をする気力も無くて腹が空いてるのに、腹一杯という矛盾した感覚が脳に叩き付けられてずっと吐き気が止まらなくて水の一滴さえも体が受け付けない。死んだ方が楽になれる、とあのときは本気で思っていた。
数日後には拘束は解かれた、暴れる気力も無いんだと分かって貰えたんだろう。
その拘束を外しに来たのが親父さん、木宿 成梧さんだった。
「……君、大丈夫か?」
「あ?」
止まない空腹と今も厭に残る満腹感で思考が可笑しくなっていた……なんて幾らでも言い訳は出来る。
「うっるざいんだよ……!
はやぐ出てぃってぐれ!!
もうぐるな゛………!!!」
「……分かった」
でも、酷い言葉を吐き捨てた事実は覆らない。心配してくれた人に対して最低な態度、謝っても許されない最悪を選んでしまったことをずっと後悔している。
親父さんは口を閉ざした後、粛々と拘束を解いて消えていった。親父さんが俺の命の恩人で、自ら志願して俺の拘束を外しに来たと知ったのはずっと後だった。
─────
ダウザーと呼ばれる神秘行使団体組織の撃退に成功した。
その過程で自分を死の淵に追いやったかまちたちとの交戦も有ったし、自分の能力の至らなさを再確認したこともあった。
だから、学科講習を受講して扱って良い神秘の能力の幅を増やした。体への負担も問題はない。以前よりも腹の減りも抑えられるようになって少し疲れた程度なら食えば直るし、何より周りにバレていない。
飯を食えなくなる状況になるなんて二度とゴメンだ。だけど、それ以上に他のやつが傷付くことの方が嫌だ。
「おえっ……」

将来自分がどうなるか分からない、飯を食えなくなる以上のことが起こり得るかもしれない。
それでも、皆を守りたい。
はやぐ出ていっでぐれ!!
もうぐるな゛………!!!」
「……分かった」
俺と親父さんとの最初の対面は最悪だった。
裏世界の教会で意識を失った後、神秘管理局の救護室に搬送されたらしい。
目が覚めた後は事情を聞かれたり怪我の様子を診て貰ったりしたが余り記憶に残っていない、別のことに気を取られていたから。
そんな様子を見かねた衛生課の方がどうかしたかと訊いてくれたら多分こう答えた。
「お腹空いた」
そう言ったら大きな腹の音が鳴った筈。
衛生課の人は多分笑ったか謝ったかしてくれた後に食事を用意してくれたんだと思う。
何を用意をされたかもはっきり覚えてはいなかった。ただ腹が減ったから腹に詰めた。
食べた、食べて、食って食べて食べた。
食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて
「おぇ」
途中で食えなくなった、腹が減っているのに脳は満腹だって伝えてきて目の前が渦巻いて。それでも食べ物を口に運ぼうとし続けて。
途中で衛生課の方が取り押さえてくれなければもっと酷いことになっていたんだと思う、それも記憶に残ってないが。
取り押さえられた後、身動き出来ないように体を固定された上で点滴で栄養剤を打って貰って何とか生きてた。
生かされているだけの状態だった。何をする気力も無くて腹が空いてるのに、腹一杯という矛盾した感覚が脳に叩き付けられてずっと吐き気が止まらなくて水の一滴さえも体が受け付けない。死んだ方が楽になれる、とあのときは本気で思っていた。
数日後には拘束は解かれた、暴れる気力も無いんだと分かって貰えたんだろう。
その拘束を外しに来たのが親父さん、木宿 成梧さんだった。
「……君、大丈夫か?」
「あ?」
止まない空腹と今も厭に残る満腹感で思考が可笑しくなっていた……なんて幾らでも言い訳は出来る。
「うっるざいんだよ……!
はやぐ出てぃってぐれ!!
もうぐるな゛………!!!」
「……分かった」
でも、酷い言葉を吐き捨てた事実は覆らない。心配してくれた人に対して最低な態度、謝っても許されない最悪を選んでしまったことをずっと後悔している。
親父さんは口を閉ざした後、粛々と拘束を解いて消えていった。親父さんが俺の命の恩人で、自ら志願して俺の拘束を外しに来たと知ったのはずっと後だった。
─────
ダウザーと呼ばれる神秘行使団体組織の撃退に成功した。
その過程で自分を死の淵に追いやったかまちたちとの交戦も有ったし、自分の能力の至らなさを再確認したこともあった。
だから、学科講習を受講して扱って良い神秘の能力の幅を増やした。体への負担も問題はない。以前よりも腹の減りも抑えられるようになって少し疲れた程度なら食えば直るし、何より周りにバレていない。
飯を食えなくなる状況になるなんて二度とゴメンだ。だけど、それ以上に他のやつが傷付くことの方が嫌だ。
「おえっ……」

将来自分がどうなるか分からない、飯を食えなくなる以上のことが起こり得るかもしれない。
それでも、皆を守りたい。