RECORD

Eno.712 茅鳴 ほみの記録

茅鳴直生の推論

茅鳴ほみは怪奇だ。

「みてみて なつのよそおい
 ほみ かわいい?」

「かわいいんじゃないの」

「てきとう~」


ほみには完璧な擬態能力がある。

「先生~」

「たまには 外食に連れていってくれませんか?
 ほみ ふれんち たべてみたい」

「そんな金ない」


ほみには高い学習能力がある。

「花火は楽しかったか」

「それはもう 先生も来ればよかったのに」

「お前を養うために塾で働いてんだよ」


ほみには社会に溶け込むコミュニケーション能力がある。

ほみは人間を捕食できる、らしい。

ほみにはおそらく、倫理観は備わっていない。しかし、
人間のルールに従うことを快いと感じている可能性がある。

こいつが実際に人を食ったかはわからない。
わかってたらもう退治されてるはずだ。
少なくとも俺が拾ってからはそのような素振りはなかった。
実験で与えたルールが、奇妙な巡りあわせで誰かの命を助けたりしてな。

俺はこのまま、コロニストにうまいこと言いながら
ほみの観察を継続する。

何かあった時に最初に気づかれるのは、
俺みたいなクズの方が相応しい。
こいつがそんなヘマをするとも思えないが。

「……ファミレスくらいまでなら」

「え やった 言ってみるものです」



社会性とかいうものを、学び直す機会にもなるのかもしれん。