RECORD

Eno.113 松林武の記録

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わたしは、強く雄々しくあれと命じたではないか。うろたえてはならない。
おののいてはならない。あなたがどこに行ってもあなたの神、主は共にいる。

ヨシュア記 1


色を失った庭

[][不明領域08『色を失った庭A』]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 19:02:52 No.4880429

「…………」

考え事をしながらぶらついていれば、ふと見慣れぬ景色。
黄昏に染まった空色の中、灰色の草木の中、
怪奇だろう者たちの姿がうろついているのが視界に入る。
久しぶりに、意図しない形で裏に迷い込んだな。

それなりに強そうな敵性怪奇だな、と
感じながらも余り──それを恐ろしいと、咄嗟に思わなかった。

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[][不明領域08『色を失った庭A』] 2025-07-31 19:03:26 No.4880463
ポイズンショット:
25

[][不明領域08『色を失った庭A』]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 19:12:30 No.4880901

あれらが此方の存在に気付いているのは自明であるから、
早く逃げないとなとはやや漠然と思って。
逃げ道を探す視線の中、ぱす、と腕を掠める痛みがポイズンショットあって。

──けれどもその程度の痛みに、特に向ける関心は無い。
ただ、ただ掠めたにしてはじくりと痛みが響くものだから、
舌打ち一つ零しつつポケットから加熱式タバコを取り出した。
怖い、というより、傷跡に爪を立てられてる不快感が強かった。

太刀打ちできる相手とは思っていないから、
逃げ道が同定出来るまで煙を撒くバリアデプロイ

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[][不明領域08『色を失った庭A』] 2025-07-31 19:13:11 No.4880929
バリアデプロイ:
30

[][不明領域08『色を失った庭A』] 2025-07-31 19:13:11 No.4880933
ダブルショット:
35

[][不明領域08『色を失った庭A』]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 19:19:58 No.4881153

「、……はっ」

スケルトンの撃った矢ダブルショット煙に紛れて有耶無耶にシールドで無力化

掠り傷が酷く熱を持ってる気がして、やや集中が削がれるが
よく目を凝らして辺りを見れば、ようやく空間に綻びを見つけて。
だ、とそれに飛び込むように走り出す。

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[][不明領域08『色を失った庭A』] 2025-07-31 19:20:09 No.4881165
スラッシュ:
25

[][不明領域08『色を失った庭A』]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 19:27:21 No.4881378

っ゛、」

逃げる背に迫る怪奇の気配は感じたが振り向かず、
背中を強く擦られるような、ざん、と衝撃が一つ。

思考がふっと飛ぶような心地がして、
一瞬足を止めそうになった。が、脚に力を入れ直して、
転がるように領域を後にした。

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--

[ビジネスタウン][診療所]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 19:50:56 No.4882325

不明領域に迷い込んだ後、神秘術での応急処置カバーリングの後、
不慣れな術行使であったのと、思いの他深手だったのとを
踏まえて念の為此方に掛かりに来た。

相当顔色が悪く見えたのか早めに通されて、傷を検められるんだろう。
幸いにもちゃんと塞がっているらしい。
有難い事に、傷痕も残さないように出来るらしい。

すごい技術だななんて感心出来る余裕はいまいち無くて、
恐怖、と呼ぶには少し違う気がする感情が巡っていた。
まだ背中が熱い気がして、診てもらった後もやや放心気味だった。

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[ビジネスタウン][診療所]
マツタケ [Eno.113] 2025-07-31 20:00:01 No.4882672



──あのまま足を止めて居ればよかったのに。


そんな奇妙な後悔が自分の中にある事が、
不気味で悍ましくて、理解しがたかった。

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怪奇に対して怖いと思わなかった理由は何となく分かっていた。
それらを恐れる事になんの意味も無いんだという、諦観だ。
裏の暴力性に過去トラウマを重ねていただけだという、自覚だ。

自分や周りの環境が損なわれたり傷ついたりすることは、恐ろしい。
けれどもそれは自分にも誰にもどうにも出来ない事だ。
表と裏を切り離す事が出来ないと悟った時点で、もう、
どうしようもないことだと、ある種割り切れてしまったのかも知れない。

裏に押し込みたかった苦しみは、裏だけのものではない。
裏だけのものだと思いたかった痛みは、裏だけのものではない。
そこに境界は無い。表と裏は地続きで、
故に、それらは、裏だけのものではない。
表すら、安住ではないということだ。

恐れなくてよいものが主しかいないのなら、
せめて恐怖に優先順位を付けて、考えなければならない。
出来ない事をもがいていたって、苦しいだけ。
日常を守ることなどという大層な事は、自分に出来るはずが無いのだ。
せいぜい自分に出来る事なんて、日常に在る事ぐらい。


回避できる、最大の恐怖さえ、避けられればいい。
ここに境界がないのなら。