RECORD
Eno.133 氷野 はづきの記録
それからしばらく沈黙が続く。
二人ぼっちだったし、こんなのは日常的。オレもSURFを眺めたり、甘い物がおいしいお店を探したりしてた。
口を切ったのは叔父さんのほうからだった。
『見たか?新聞』
「いや…新聞全然読んでない」
『だろうな。…見ろ』
手招きされて、側へ行く。
…さっきから読んでいた新聞は今日のじゃなかった。
これを話すタイミングを窺っていたのかな。
示された記事を覗き込み、読み進めていくと…。
「雷に打たれて、意識不明の重体…。へえ、怖いね、夕立多かったもんね…」
『名前、ちゃんとよく見ろ』
「え?」
もう一度記事を見る。
都内に住む、42歳男性、名前は…。
「………苗字、」
『ああ、お前の旧姓だ。…これはお前の父親だよ』
「……、」
『天罰でも下ったか。お天道さんは見てんだな。
…下ったところで美月が戻ってくるわけでもねぇが』
その時の叔父さんがどんな表情をしていたかは見ていない。
でも、声音から察することはできた。
喜びでも、悲しみでもない。…やるせなさ。
…天罰か。
放浪癖のある父親に何度も裏切られて、お母さんは心を病んで、自殺した。
優しかったお母さんが豹変していくのを、幼いオレはずっと側で見ていた。
顔も覚えてない、話した記憶すらない父親に、オレは髪の色も目の色もそっくりらしい。
きっとオレを見るたびに父親のことを思い出して、叔父さんにとっては苦しかったと思う。
この雷の事故で、心が晴れるとは思わないけど…、
叔父さんが何気なく言った言葉と、裏世界での出来事を思ったら、
なんとなく、偶然じゃないような気がした。
葉月の空②
それからしばらく沈黙が続く。
二人ぼっちだったし、こんなのは日常的。オレもSURFを眺めたり、甘い物がおいしいお店を探したりしてた。
口を切ったのは叔父さんのほうからだった。
『見たか?新聞』
「いや…新聞全然読んでない」
『だろうな。…見ろ』
手招きされて、側へ行く。
…さっきから読んでいた新聞は今日のじゃなかった。
これを話すタイミングを窺っていたのかな。
示された記事を覗き込み、読み進めていくと…。
「雷に打たれて、意識不明の重体…。へえ、怖いね、夕立多かったもんね…」
『名前、ちゃんとよく見ろ』
「え?」
もう一度記事を見る。
都内に住む、42歳男性、名前は…。
「………苗字、」
『ああ、お前の旧姓だ。…これはお前の父親だよ』
「……、」
『天罰でも下ったか。お天道さんは見てんだな。
…下ったところで美月が戻ってくるわけでもねぇが』
その時の叔父さんがどんな表情をしていたかは見ていない。
でも、声音から察することはできた。
喜びでも、悲しみでもない。…やるせなさ。
…天罰か。
放浪癖のある父親に何度も裏切られて、お母さんは心を病んで、自殺した。
優しかったお母さんが豹変していくのを、幼いオレはずっと側で見ていた。
顔も覚えてない、話した記憶すらない父親に、オレは髪の色も目の色もそっくりらしい。
きっとオレを見るたびに父親のことを思い出して、叔父さんにとっては苦しかったと思う。
この雷の事故で、心が晴れるとは思わないけど…、
叔父さんが何気なく言った言葉と、裏世界での出来事を思ったら、
なんとなく、偶然じゃないような気がした。