RECORD
Eno.423 甘露 繋の記録
おばけなんていないと誰が言ったの
永遠の朝焼けと夕焼けに、僕は息を呑んだ。
誰もが一度は、自分が今いる世界とは別の世界が存在したらという「もしも」を、
考えたことがあるだろう。
それはあの世だったり、本の中の世界だったり、
夢の中で見た世界の続きだったりしただろう。
「でも、これは」
素晴らしいことに、そして恐ろしいことに、
僕の目の前に広がるこの世界は
全て現実だという。
一歩踏み入ればその空の色に息を呑み、
三歩進めば、もう正確な時間も分からなくなる。
十歩進めばそこには誰かが書いた物語を
そのまま切り取ったような、
人ならざるものが歩き、言葉を交わしている。
驚くのが、最初に裏世界に迷い込んだ時と違って
知っている顔が何人かいたことだ。
例えば…中谷先輩とか。弟は誰から渾名を聞いたのか
チュンタニセンパイと呼んでいる。
BBQや凝った料理が好きな先輩って感じ。
そんな人だ。普通の人だと思ってた。
みんな個性はあるけど、普通だと思ってた。
こんな世界が、僕の薄皮一枚向こうにあったのか。
そう思うと頭がくらくらする。
胸の真ん中を何かで貫かれたような気持ちだ。
怖くて歩けないわけじゃないけど、楽しさを見出すにはちょっと緊張しすぎていて。
どこか懐かしさを感じてしまうのは、
ずっと続く朝焼け、
もしくは夕焼けの色のせいなのかもしれない。
くらくらする僕の中で、
『表』と『裏』の認識が繋がっていく。
ああ、これは『二つ一組』の世界なんだ。
ずっと知らなかっただけで、
ずっとずっと、そこにあったんだ。
変な気持ちだ。
不意に僕の後ろを何かが通り、
くすくす笑いをした。
けれど、振り返っても誰もいない。
誰もいないんじゃなくて、きっと声だけがそこにいたんだ。
おばけなんていないと、
誰が最初に言い始めたのだろう。
確かに君は、そこにいたのに。
誰もが一度は、自分が今いる世界とは別の世界が存在したらという「もしも」を、
考えたことがあるだろう。
それはあの世だったり、本の中の世界だったり、
夢の中で見た世界の続きだったりしただろう。
「でも、これは」
素晴らしいことに、そして恐ろしいことに、
僕の目の前に広がるこの世界は
全て現実だという。
一歩踏み入ればその空の色に息を呑み、
三歩進めば、もう正確な時間も分からなくなる。
十歩進めばそこには誰かが書いた物語を
そのまま切り取ったような、
人ならざるものが歩き、言葉を交わしている。
驚くのが、最初に裏世界に迷い込んだ時と違って
知っている顔が何人かいたことだ。
例えば…中谷先輩とか。弟は誰から渾名を聞いたのか
チュンタニセンパイと呼んでいる。
BBQや凝った料理が好きな先輩って感じ。
そんな人だ。普通の人だと思ってた。
みんな個性はあるけど、普通だと思ってた。
こんな世界が、僕の薄皮一枚向こうにあったのか。
そう思うと頭がくらくらする。
胸の真ん中を何かで貫かれたような気持ちだ。
怖くて歩けないわけじゃないけど、楽しさを見出すにはちょっと緊張しすぎていて。
どこか懐かしさを感じてしまうのは、
ずっと続く朝焼け、
もしくは夕焼けの色のせいなのかもしれない。
くらくらする僕の中で、
『表』と『裏』の認識が繋がっていく。
ああ、これは『二つ一組』の世界なんだ。
ずっと知らなかっただけで、
ずっとずっと、そこにあったんだ。
変な気持ちだ。
不意に僕の後ろを何かが通り、
くすくす笑いをした。
けれど、振り返っても誰もいない。
誰もいないんじゃなくて、きっと声だけがそこにいたんだ。
おばけなんていないと、
誰が最初に言い始めたのだろう。
確かに君は、そこにいたのに。