RECORD
EX all bad People

「よお!おかえりー!」

「何お前俺の家で飯食ってんねん。カーチャンもこんな奴に飯食わせてんじゃねえよ!どこや!」

「あ、おどれのカーチャンは盆踊りの実行委員の準備で行ってもたで」

「ハァ・・・頭が痛くなる」

「なんや?夏風邪ー?」

「とぼけんじゃねえよ!お前んとこの人間がさっき来たぞ」

「あそーなん?誰が来た?マー子?ター子?」

「マー?・・・た、ター・・・?なんだよその俺達パチモンは!」

「麻由里と鷹子、大阪小金市のイカレ女コンビ。らしいで?」
「俺も昨日今日とマー子にいきなり襲われて死ぬかと思ったわー。」

「なんで大坂モンがこっちにちょっかいかけてくんねん」

「言うたやん、多摩とちごーてウチはほそぼそやねんて。人が足らへんってことや」

「白髪のフライトジャケット女はターとマーどっちだよ」

「それはター子やな、俺の同僚。仕事は真面目やけどプライベートはクソビッチのアバズレや」

「お前にだけはター子も言われたくないと思う」

「っさいのう、まあええわちょっとまっとけよ?」


「どうせお前馬鹿やからおさらいから行くぞ?
この街で今土地神の世代交代が起ころうとしとる。
せやけど職場で次期土地神をどいつと認めるかで割れとるわけや」

「俺の直属の上司が属しとるのは最近生まれた新時代の怪異派。
対する鷹子の上司が属しとるのは昔からこの土地におる古株の怪異派。」

「これは怪異だけの問題やのうてここら一帯を推した土地神を通して管理する領分の取り決めでもあんの。」

「まあわてもよおわからんけど、かいつまむと上司共の出世にかかわるっちゅうわけやな。」

「んで、なんとかどうにかしてこいってうちのカスに命令されて困ってるのが俺。
俺と鷹子が表立って直接バチったり相手の推してる土地神を消しに行くんはまずい。
内ゲバって露呈してまうからや。
せやから俺は考えた、仕事を外注して下請けに丸投げしたらなんか問題あっても俺は知らぬ存ぜぬ通せるってな」

「相手も考える事は同じで、向こうは地元の昔馴染みを連れてきて俺に差し向けてきよった。
それがまさか俺がヤリ捨てした女やったとは因果なもんやなあ」

「とにかくやな、おどれはどうにかこうにか相手の土地神の所に潜入してご自慢のエナショで風穴を奴さんに開けてほしいわけや。」

「・・・・・・」

「おわかり?」

「お?なんや立ち上がってこっちきておさわり厳禁やででででででで!」

「てめえ!俺だけ働かせるだけじゃ飽き足らず俺を捨て駒にしようとはいい度胸じゃおら!だいたいなんだあの絵!
てめえだけかっこよく描いてんじゃねえよ!」

「うっさいんじゃワレェ!おどれなんか涎たらした頭クレヨン野郎じゃろうが!五稜の五は五歳児の五やろうが!」

「五稜家でよくもぬけぬけとそうぬかせたなこのダボが!そこになおれ!おめえを簀巻きにしてター子に引き渡してアイツに今からでも抜いてもらうわ!」

「何を自らハニトラに引っ掛かりにいっとんじゃ!おどれは年上なら見境なさすぎやろ!」

「っせーなぁ!年上好きで何が悪いんだよ!おめえに切り捨てられるより万倍マシじゃタコ!」
ガララ!
こげ
つん

「おめーらうっさいぞ、次騒いでみろ?殺すぞ?」

「はい・・・」

「はい・・・」

「お前の姉ちゃんホンマ怖いなあ」

「やろ?」

「まあとにかくやな!お前は一般協力者ってことで外部の人間や、大手を振って暴れてくれや
怪異の抹殺と妨害にくるであろうター子の打破。それは頼んだでー」

「恐らく向こうも同じプランやろうけど、マー子は俺にお熱やからこっちの本丸より先に俺を消しに来る。
だから先手でこっちが動けばオフェンスに心置きなく回れるっちゅうわけや。」

「だからよ、俺がそんなことしたら俺の立場がやべーんじゃねえの?って」

「俺らが勝てば官軍や、偶然迷い込んだ一般人が偶然神秘能力使えて偶然襲われて反撃しただけ。そーゆーシナリオ」

「ほんまやろなあ?」

「いちいち深く調べられへんよ。多摩やて反社勢力がガチャついても後手後手やろ?
それに追求しようとしてもその時には管轄はうちの上司になっとるんやから、もみ消して終わりってわけ。」

「それもそうか。・・・にしてもお前の上司もカスやな~」

「向こうの上司もカスやで~全員悪人ってわけやな!」

「まあええわ、ター子だのマー子だの俺らの中国版みたいな連中に格の違いみせてやるか」

「そーこなくっちゃー!じゃ!今から行くで―」

「え?今から?」

「あたぼーよ、善は急げいうやろ?チンタラしてたらこっちに攻め込まれまんがな」
―――――――

「おつかれー。……って、アンタ荒れすぎじゃない? それ風邪薬?パキってつかいもののならないとかやめてよ?」

「ほっといてよ」

「別に止めへんけどさ、アンタ日下部ヤる前にぶっ潰れんといてや?」

「分かってる。……絶対に私がやる。鷹子は手ェ出さないで」

「せやな。日下部はアンタに任せる。」

「ウチが手ェ出したら職場に睨まれるしそれにな?
麻由里がキッチリケリつけな、アンタ前に進まれへんままやん」

「……うん。ありがと、鷹子」

「それじゃウチはター坊やな。そっちの相手するわ」

「ター坊……あの名前ホント気に入らない」

「やんな?アタシらのパチモンみたいで腹立つわ」

「……ほんと、そうね」

「だから見せつけたろやん。どっちが“本物”かってな」