RECORD

Eno.1784 死せる骸の幻影 ネクロスの記録

残された者─神を殺した日─

夢をみていた。
酷く懐かしく、酷く忌々しい、心に刻まれた夢……


横たわる黒髪の少女。
その上に跨る男。
男は血に塗れた拳を振り上げ、少女の顔を殴打する。

「────リュナ。我が愛し子よ。お主は生きろ」

拳を振り下ろされ、皮膚が裂け、血に塗れた顔。
それでも表情を変えることなく言葉を紡いでいた。

「お主にはお主の生きる場所がある。お主が帰るのに、我を殺すことこれは必要なことだ……」

『リュナ』と呼ばれた男が少女に拳を振るう。
肉を潰し、骨を砕き、皮膚を裂き、己の手と少女の顔を血に染め上げる男。

「──ふっ、泡沫の夢にしては存外、悪くない時間だったな」

血に塗れた顔で少女が笑う。
それが酷く美しくて。

「───ぞ、リュナ」

彼女は最期に何を言ったのだろうか。
今も思い出すことができない。
ただ、ただ、拳にこびり付いた、生の残滓だけが酷く記憶に残る。