RECORD

Eno.2211 二二々 二二の記録

地平を踏む歩み

滑走路を望む。少し風が強く、白衣が旗のように音を立てる。

「おや、また上がってしまいました」

迎える筈の旅客機は再び高度を上げる。何度か辺りを旋回し続けている。
前輪が出ないらしくかれこれ二時間はそうしている。有事に備えて燃料を減らしている。

「……お!再チャレンジ!」

滑走路に入るコース取り。
後輪がコンクリートに触れて、軽く跳ね返る。その時

「あ!前輪出ましたね!良かった〜」

無事に速度を落として、停まる。
タラップが取り付いて、真っ先に降りてくるのは

災難でしたね〜兄上!

『本当にね』

リフトに乗ってやっと地に足、もとい車輪をつけた兄、つがない 一十おはり
その後に他の乗客がぞろぞろと降りて、列をなしてターミナルへ向かう。


「ところで、病人の方は?」
『可哀想にね、十分前に死んでしまったよ』

なんということか!救急車も呼んでいたのに!
前輪トラブルさえ無ければ間に合っていた!

兄の車椅子を押してターミナルへ向かう。

「そうでしたか!兄上も長時間お疲れ様でした。何か食べに行きますか?」
『そうだね。ケーキとか』

「ほう、珍しい!何処か気になる所でも?」
『うん。良さそうな店を見つけたんだ。丸ごと買い取ってもいいくらいだよ』

「ワッハッハ!!ではでは買っちゃいますか!」

救急車が赤色灯を回して過ぎ去っていく。
清掃会社の職員が旅客機に乗り込む。

『きみの会社も掃除してもらったらどうかな』

「お!奇遇ですねさっきしたんですよ〜!隅から隅まで!長年放っておいてましたからね〜!ドバドバですよ、ドバドバ!纏めてやる方が手間がないでしょう?」

『そうかな、こまめにしなよ』

「さらに奇遇なことに、なんと!ケーキは既に買ってありま〜す!ワハハ!」

『へぇ。飲み物は何が合うかな』

「特別イイワインを仕入れてますよ!」

『あはは』
「ワハハ!」