RECORD

Eno.589 飯降山燐火の記録

最後の全盛期

人々の火への畏れが、薄れつつある。

根源的恐怖に存在する概念であるがゆえに、完全な私の存在否定には至らないが……
時代が変わった。昔のような魔の匂いが濃い時代にはもう戻らないだろうな。

……今は須らく神秘と統括しているのだったか?

変化と技術の進歩によって人と人のつながりはより濃く強くなった。
それによって新しい在り方の魔の者も増加しているようだが
私のような古い在り方の存在は……苦労しているだろうな。

私が人全体の認識に依存しすぎなところはあるが。



おかげで最近は存在の摩耗が激しい。
土地全体の神秘が薄いのもあって、余計に維持に燃料が必要になった。

最近は食事も燃料の補給手段として取り入れるようになった。
取り込んだ食事を”燃焼”するという過程を通して神秘に返還。

多分1週間も食事を絶てばぽっくりと消滅するだろう。

ただ、この変化を面倒だと感じたことはない。

……定期的に食事をしなければ、生きられない。など
人類は当然のようにやってきたことなのだから。



恐らく、今くらいが丁度いい。
人が直接火に焼かれた事は無い、しかし恐怖への想像はつく。

そんな不安定な均衡。

完全な存在の否定はされないと良いな、人が恐怖が忘れることはとても危険な事だ。
良く刻み良く覚え、愚かしさに走ることなかれ。

どうか私の”最後の全盛期”が
ずっと最後でありますよう、願っている。