RECORD

Eno.477 三咲 湊の記録

diary202507.txt(1)

 大学が夏季休暇に入った。裏世界を知り、神秘を扱い、敵性怪奇との戦いが日常に入り込んでも、夏休みは変わらずやってくる。
怒涛の数ヶ月間だった。だから、記録をつけておこうと思う。記録しておけば、忘れても思い出せるから。

 思い出しながら書くのでとりとめがないし、なにか忘れていたり、間違いがあるかもしれない。ただ、これを読みかえす未来の僕よりははっきりした記憶を持っているはずだ。

「たぶんね」





退院してすぐの思い出

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ミナト [Eno.477] 2025-06-19 14:39:49 No.2214744

「まさか、外がこんなに暑くなっていたとは……。梅雨はどこ行ったんだよ、梅雨は」

ひとり、テーブル席でぐったり。季節外れな上着を脱いで、腕まくりをしている。
テーブルにはチョコレートとナッツとオレンジのケーキ、そしてシンプルなアイスコーヒー。
アイスコーヒーにできた結露がコップをつたい、テーブルを濡らしている。

「病み上がりでこんな炎天下を歩いてたら死ぬって……。しばらくは屋内で過ごそうかなぁ。でもゼミのフィールドワークもあるし、今からこの暑さに慣れておく必要もあるか……。いや、まぁほどほどにね……」

アイスコーヒーを一口。氷がカランと鳴った。

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 裏の束大附属病院を退院したのは、6月半ばごろだった。まだ6月だというのに外はうだるような暑さだったのを覚えている。

 たまたま入った喫茶店のコーヒーがおいしくておいしくて……。夏でもホットコーヒー派だったけど、アイスコーヒーに傾きかけた。ケーキもおいしかったなぁ。また行きたい。



螺千城でのこと

[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 02:13:44 No.2245168

「わお」

北摩湖の水面から顔をのぞかせる桃色のシルエットがひとつ。螺千城を見上げている。

「なんだこりゃ。裏の北摩湖にこんな場所があったなんて知らなかったな…。裏世界ってなんでもありだな……」

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[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 02:24:50 No.2245382

「表から堂々と入って大丈夫な雰囲気……かは、ちょっとわからないな。裏世界って治安悪いところはとことん悪いもんなぁ。
しかし、ここでしっぽを巻いて逃げ去る僕ではないのだよ。湖の下の方から潜り込める場所があるかどうか探ってみようかな。

……ふわぁ。…でも今日は眠いから、また今度。
 今夜は湖の底で寝るか~。おやすみ裏世界~」

チャプンと音を立てて、湖の底へと消えていった。

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[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 14:30:31 No.2259445

*シャーッ*
なめらかな腹すべりで螺千城の路地を移動している。神秘の力だろうか、でこぼこ床でもへっちゃら。

「ひゃっほい。潜入成功! なんだぁ、迷路みたいな場所だな…。怪奇の街? でも、人間もいるみたいだ」

ただ、人気の無くなった時間を見計らって水くみ場から上がってきただけだ。時折、通行人から向けられる奇妙なものを見る視線も気にせず、螺千城を探索している。
→ランダムトラブル

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[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 14:41:31 No.2259788

>>2259445
*ヒトカミマンボウに出くわした!*

「わっ、すごい! マンボウが浮いてる! 僕の滑り移動よりなめらかだ…。いいなぁ、どうやって浮いて……ぎゃっ!

無邪気に近づけば、ピンク色の大きな耳にガブリと噛みつかれた。

「ひぃっ、僕はおいしくないぞ! あっちいけ、シッシッ!
 ……くそ~、今の僕の姿でも仲間判定はしてくれないわけ? やっぱり、水生哺乳類と水生生物じゃ違うのか……」

シッシッと追い払うように手を振れば、マンボウはそのままどこかへ行ってしまった。
外はねした髪のような大きな耳をさすりながら、再び螺千城を滑って進んでいく。

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[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 18:23:55 No.2265264

「それにしても巨大な建物だなぁ。あれ、ここさっきも通った? あっ、道が分かれてる。ん~、こっち!」

*シャーッ*
ピンク色をした人魚のようなものが道を滑りながら進んでいく。
→ランダムトラブル

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[北摩湖][螺千城]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 18:30:07 No.2265475

>>2265264
周囲の明かりが一斉にふっと消えた。

「えっ、なになに? もしかして、停電!? え~。そんな、知らない場所でそれは困る…。
 ま、まぁ、しばらくすれば復旧するだろ。いや、暗いと一段と怖いな……」

暗い道を恐る恐る進んでいく。

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 螺千城を見つけたのは、人魚姿で裏北摩湖を泳いでいた時のことだ。
 あんなに巨大な建築物なのに、遠くからでは気付けなかったのが不思議でたまらない。裏世界における空間の歪みの影響だろうか。

 最初こそエキゾチックな風景に心躍らせていたけれど、今ではすっかりお気に入りの場所!

 なんてったって、酒が安い! 金のない大学生にとって、酒が安く飲める場所は貴重だ。つまみも安い。螺千城を訪れたばかりのころ、表世界で見たことがない食材が出てきたときは驚いたけれど、もうすっかり慣れたものだ。あそこで出される、ひとつ目の魚の揚げ物が特においしい。

「しかし未だに名前を知らない。なんていう魚なんだろう」



 螺千城では、基本的に人魚の姿で過ごしている。全身ピンク色の人魚だなんて注目の的になりそうなものだけど、あそこでは人間の姿でいる方がいらない視線を集めてしまう。

 居酒屋ではよく噂好きの客に話を聞く。テン虫という恐ろしい怪奇のことだったり、無頼衆のことだったり。酔っ払いの話すことなので話半分で聞いているが、酒を肴に聞く分にはなかなかおもしろい。彼らが恐れるテン虫というのにはまだ出会ったことがないんだよね。ちょっと怖いけど、一目見るくらいはしてみたいな。



乙通女宿でのこと

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怪奇 [Eno.799] 2025-06-24 17:46:46 No.2475476

『クイニゲェ〜!!!』
『チッ!邪魔だオマエ!!』

「あっ」

ドンッ

『マテヤゴラァァア!!!』
『捕まるかってんだぁ〜〜!!!』


「………」

ぶつかって倒れた……顔面から……不運。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-24 18:03:26 No.2476061

>>2475476
「あ〜……、大丈夫?」
酒を飲んでいた人魚姿の男が声をかけてきた。助け起こそうとするだろう。

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怪奇 [Eno.799] 2025-06-24 19:30:30 No.2479379

>>2476061

「………」

朝顔にまみれた怪奇は、貴方が声をかけてから数秒。
指の先を動かして、また数秒。それから。

「……?」

白に泥の化粧が塗られた顔を上げ、不思議そうに見上げてくる…

「…大丈夫…?

声もちいちゃい…

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ミナト [Eno.477] 2025-06-24 20:11:25 No.2481632

>>2479379
「うん、痛いところはない?」

カバンからハンカチを取り出して、泥のついた顔をふいてあげた。ぐしぐし。

「しかし食い逃げとはね~。ここは比較的安全って聞いてたけど、それでもこうやって犯罪が起こるんだもんな。これ以上に怖いところもあるっていうんだから、おっかないところだね、螺千城は。
 ……ま、それでも酒とつまみの安さに惹かれてこうやって来ちゃうんだけどね。君も変なところに迷い込まないように気をつけな~」

 そんなふうに話しながら、夕顔の服や手など他の汚れた箇所もハンカチでパッパッと払っている。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-24 20:28:01 No.2482551

>>2481632

「……ない…

ぼんやり…されるがままにと、ハンカチで拭かれていく怪奇。
黒い眼差しはずっと貴方を見つめている。

「……貴方は?
 "外"の…人…?

こんなに桃色の人魚さんは見たことないかも…?あったっけ…?
と、きょとんと首を傾げてる。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-24 20:49:11 No.2483765

>>2482551
「外? そうだよ。僕、表世界から来たんだ」

螺千城の外ではなく、裏世界の外と言った。警戒心もなくよく喋る。

「裏世界を知ったのがだいたい二ヶ月前くらいかな? それからは、裏世界こっちが興味深くてね。色んなところを訪れて回ってるんだ。
 螺千城を知ったのはつい最近なんだけど…。いや~、ここはお酒が安く飲めて助かるよ。僕、金欠大学生なもんでね……。

 …っと、だいたい汚れは落とせたかな。そのハンカチあげるよ。他にも気になるところあったらそれで拭きなね」

 ハンカチを手渡した。さっきまで泥を拭っていたせいもあって、ちょっと汚れている…。

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??? [Eno.799] 2025-06-24 21:45:42 No.2487163

>>2483765

宇宙が背後を過った―――

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-24 21:50:21 No.2487408

>>2483765

「…どうして…?怪奇・・、なのに…

渡されたハンカチを受け取りつつ、"真っ当な"質問を貴方に投げる。

…そう、さらりと貴方が明かしてしまったこの女、正真正銘の怪奇である。
貴方はどこからどう見ても"怪奇"なのに『裏世界を知った』や『金欠大学生』など、まるで自分は人間かのように話してる…?という、盛大な勘違いをしているようだ…

「…怪奇…大学生…?

怪しんでるより不思議そ〜〜〜に見つめてる…

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ミナト [Eno.477] 2025-06-24 22:47:58 No.2491390

>>2487408
「?」

「……??」

 30秒ほどの間。

「……あっ、そうか! そうだね! この姿じゃ、そうか~!」

 ようやく理解したようだ。

「僕は正真正銘、表世界の人間だよ。束大3年の三咲みさきみなと、それが僕。
 本来の姿も見せられればいいんだけど、ここでむやみに変身を解いたら面倒事に巻き込まれそうなんだよな…。ここには他にも人間はいるとはいえ…。
 ほら、人間に変身できる怪奇っているでしょ? その逆で、怪奇に変身できる人間もいるってことさ」

 すごい当然のように話している。鱗の代わりにアザラシの毛皮のついたヒレアシを、ゆらゆらと揺らした。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-24 23:55:43 No.2495987

>>2491390
「………………うん…」

がんばって…おとしこみました…
いくら混沌に定評のある螺千城でも、怪奇よりは人間の方が色々しやすい・・・・・・という認識は多かれ少なかれあるだろう。貴方の判断は確かに正しい、この場ならば怪奇の姿の方が目立ちにくい。

「……お金、落としに…来た…?
三咲…さん……遊ぶ…?


まぁそれはそう。。。
金欠大学生にとって安くお酒が飲めるのは有難い話!何なら神秘率が上がるかもしれない珍味も食べられる!やったね!

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ミナト [Eno.477] 2025-06-25 00:35:32 No.2498073

>>2495987
「よしよし、えらいえらい」

素直に情報を飲み込んだことに対して褒めた。

「ん~、遊ぶ? お金は無いけど……。まぁ、無い寄りの有るだよ」

ほぼ無い。

「なになに、なんか楽しい遊びがあるの? 教えてよ~。僕、螺千城ここには来たばっかりだから知らないことも多くて…」

先程まで酒を飲んでいたので少し気が大きくなっているようだ。へらへら笑って色々と情報を得ようとしている。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-25 11:03:27 No.2509690

>>2498073

「………」

先に伝えておけば、見ての通り。
この怪奇には貴方を騙したり搾取しようとする意志はない。
ふわっふわのベイビィ…が貴方に近付いているようなもの。


「…ある…魔路卍横丁…みんな、遊んでる…

大抵、"遊び場"といえばその場所で、この怪奇がちょうどそこへ帰ろうとしていた時であった。か細い声で、行く?と貴方に尋ねるだろう。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-25 17:10:52 No.2517384

>>2509690
「まじまんじ横丁…。まじまんじ横丁…?」

「あっ…、何度か耳にしたことあるかも。あれってそういう若者言葉じゃなかったんだ…」

マジ卍のもっとすごいやつだと思ってた様子。ようやく、そういう場所の名前だと理解した。

「へ~、ここの怪奇たちがどんな遊びをするのか興味あるなぁ。行こう行こう! 社会勉強だ!」

金もないのに行く気マンマン。夕顔が案内してくれれば、素直にその後をついていくだろう。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-25 19:31:12 No.2522066

>>2517384

「……うん……

かくして、ベイビィ怪奇による貴方への繁華街案内が始まったのであった――

※レスアンカーつけてプレイス移動します!

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-25 19:36:56 No.2522311

>>2517384

魔路卍横丁。
酒と香水と吐瀉物の臭いが混じり合う、表でいう繁華街的なエリアだ。
死骸地と違うのは、酒場や飲食店の他に賭場やら怪しい店舗やら賭場やら賭場やら等々…匂いも相まってか、明らかに死骸地とは様相の違う場所であることは貴方にも伝わるかもしれない。

『丁か半か!さぁ張った張った!』
『丁!』『半!』『半!』
『次のネズミレースは戌の刻からだよ〜!!』
『ネェ、オニーサン、チョイトソコニヨッテカナイ?』
『ケッ!ぼったくりかよ!』


「………」

往来を歩くは怪奇、怪奇、怪奇。
逆に人ならば目立つぐらいの割合……というのはまぁ、螺千城の何処にいても変わらないだろう。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-25 21:53:20 No.2528793

>>2522311
「ほへ~」

間抜けな声を出して夕顔の少し後ろを歩いている。魔路卍横丁に到着してからは、物珍しそうに周囲をキョロキョロ。完全なお上りさん状態。もし人間の姿で一人歩いていたならば、瞬く間に面倒事に巻き込まれていただろう。
喧騒の中を物怖じせず進んでいく夕顔に声をかける。

「君、ここによく来るの? もしかして、家が近いとか…? ご両親が働いてたり……?」

夕顔のような大人しそうな子が好んで来る場所とも思えない。となれば、親がこのあたりにいるか。もしくは家が近いか。

歩いている最中、大柄な怪奇にぶつかった。ミナトはよろけながら相手に振り返る。相手は酔っ払いのようで、ぶつかったことにさえ気付いていない様子でへらへらと通りを歩いていった。

「繁華街って裏世界にもあるのね……」

今まで裏世界を歩いてきて、これほど賑やかな場所ははじめてかもしれない。すごいなぁと再びキョロキョロ。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-26 22:50:55 No.2573757

>>2528793

「…?」

コケコッコー

「…家……乙通女宿かよいめのやど…ある…

貴方の足元をやたら手足を多く伸ばした猫が鶏の鳴き声を発しながら通り過ぎていく…ので、届いたかどうかは運次第なのだが、小さな声で家らしき名を怪奇は発した。また、よろけた貴方を気遣ったのか、転ばぬようにと白い手を伸ばし、どこか掴めそうなら掴んだかもしれない。

「…両親…?…おや?……いない…ひとり…

与えられる言葉を一度咀嚼し、噛み締めて、それから理解。
そんな工程を経てるかのように質問にそう答えた。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-27 02:25:41 No.2581784

>>2573757
「うわっ」と鶏の声で鳴く猫を避けた。よろけつつも、差し出された夕顔の手にとっさにつかまる。

「あ、ありがと……。
 ……宿?」

最後の"宿"だけ聞こえたようだ。
夕顔の「両親がいない」という答えに対しては、「ごめん」と答えて口を噤んだ。過去に両親を失ったのか、怪奇として元から両親が存在しないのかはわからなかった。しかし、そこを更に追求するほど非常識でもない。

提灯の灯りと喧騒が渦巻く中、夕顔と手を繋いで歩いていく。時折聞こえる丁半賭博の掛け声にすら珍しそうに視線を向ける。

「しかし、宿屋かぁ。どこにあるの? 僕、今夜はそこに泊まろうかな~。螺千城ここって道が複雑だから帰るのに時間かかってちょっと面倒なんだよね」

女郎屋とも知らないで! こうやって案内してくれているのだ、少しくらい宿の売上に貢献したい。そういった思いから発した言葉だった。
しかしそこは現代日本の大学生、"宿"と"繁華街"という己の日常になじみの薄い2つの要素を更に結びつけて考えることができなかったようだ。
当の"宿"を直接見れば流石に察するだろうが……。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-27 22:47:41 No.2612012

>>2581784

「…?どうして…?

朝顔の怪奇は不思議そうにゆっくり、首を傾げる…

この怪奇は見目の通り、朝顔そのもの。
初めは"種"だったものが何らかのきっかけか、もしくは置き去りにされ神秘を浴びまくった末か…こうして人の形を帯び、ようやく歩き始め螺千城へと至った。
知識としての"親"は知るが、そも親の概念がない。存在はあったかもしれないし、なかったかもしれない。些細な事柄だった。それは。

「…泊まる…遊ぶの…?

Oh大きな擦れ違い…ッ!
別にそれはそれで構わないが…といった様子で貴方を連れて行く怪奇。果たしてこの生まれてしまった差は無事になんやかんや上手く収まるのだろうか…ッ!

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乙通女宿 [Eno.799] 2025-06-27 22:48:23 No.2612036

>>2581784

と、歩き続けていく内に。
繁華街でもまぁ広く、お出迎えと言わんばかりのちょっとした庭と門がある建物へと着く。門には灯り代わりにと提灯がそれぞれ掲げられており、右は【乙通女宿】、左は【女郎屋】とそれぞれ縦に…

『夕顔ダヨ!』『嗚呼夕顔ダ!』
『トロクテ鈍臭イ子!』『一体何処マデ"おつかい"シテキタンダイ!?』


ぎょろり、と。

当然が如くその門番はお化け提灯の怪奇で、1つ目玉にべろりと大きな舌を出しながら二匹はきゃらきゃらと嗤う。

『ソレニ頓智気ナ桃色ダヨ!』『人魚ダネ人魚!』
『ヤレ、オ客サンカイ?』『トロノ夕顔ガ客ヲ取ッテキタッテヨォ!』

きゃらきゃら!


「あれ、姉さん方見なさいよ。」「夕顔ちゃんが男連れだって!」「どんな手練れで?」「またやっすい無頼衆でも連れてきたんじゃあないだろうか?」「蛍灯さぁ~ん!夕顔帰ってきたよ~!」

クスクス

貴方から見える、建物の二階。
ひと昔前の服装をした艶やかな女達が見下ろして笑い合っている。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-28 02:47:57 No.2621335

>>2612036
>>2612012
「……」

 乙通女宿に到着する少し前から違和感はあった。艶やかな格好をした女、足早に先をゆくニヤけた男。次第に濃くなっていく香水の甘い香り。

「なるほどね……」

 建物の前へと到着すれば、違和感は確信に変わった。これは……そういう"宿"だ!!
 ミナトは別段、女性が苦手というわけではない。その手のきわどい話題にも動じないたちである。
 しかし今は不慣れな空気に落ち着かない様子でまごまごと、手を引かれるがまま。お化け提灯が突然こちらを向けば、一瞬ビクリと身体が跳ねる。それだけで、この桃色人魚男がこういった場所に不慣れであると向こうにも伝わるだろう。

「ここに泊まるのは難しそうだな……」

 困った顔でぽつりと呟いた。緊張のせいか、建物にいる女たちの話し声がよく聞こえる。かわいがられてるんだなぁなんてことを思いながら、夕顔の方を見た。

「君、夕顔っていうのか…。そっか……。じゃ、中で少しお酒でももらっていこうかな……」

 泊まると言ったのをさらっと撤回した。流石にここで"泊まる"わけにもいかない。だからといって、ここで帰れば今度はこちらが夕顔の顔に泥を塗ることになるかもしれない。どこへ通されるのかは不明だが、しばらく夕顔に手をひかれるがままだろう。頭の中では、どうすればこの場を穏便に済ませられるかを考えている。

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-28 21:54:21 No.2653821

>>2621335
『オヤオヤ』『一見サンダネ!』
『遊ビ慣レテナイ初イ子ダネ!』『駄賃ハアルノカネ!』


きゃらきゃら!

「…?夕顔…うん…ここ…家…

はて…どうして提灯らは笑ってるのだろう…?
貴方が不慣れであることを朝顔は察しておらず、泊まりたいなら泊まらせなきゃだけの思いで貴方を連れて行く…連れて行っちゃう…!

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蛍灯 [Eno.799] 2025-06-28 21:57:27 No.2654001

>>2621335

提灯ども!黙りな!
お客様に迷惑だろうが!』

開かれた出入り口に入ってから一喝…貴方の後方にいる門番達に向けた言葉だ。声を張り上げたのはすっきりとした着物に身を包み、顔と体の一部が蛍を彷彿とさせる器官を生やした女性。ここまで来ると、流石に怪奇だろうとは見て分かるかも。
はぁ、と溜め息をついてから綺麗に膝をつき、貴方へと頭を下げる怪奇。

『…いらっしゃいまし、旦那様。
今宵は女郎屋・乙通女宿かよいめのやど を選んでくださり有難う御座います。私はこの店の楼主の蛍灯ほたるびと申します。
ささ、どうぞ中へお入りください。夕顔、履物を……って、旦那様には立派な尾がありましたねぇつまり履物はない!。』

クスクス、ウフフ

二階に通ずる階段や、玄関から見える一階の部屋の戸の隙間…まるでこちらを品定めするかのように、女達が見つめては笑っている…

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-28 21:58:10 No.2654033

>>2621335

「……蛍灯さん…この方…泊まりたいって…
『あら、宿泊のご希望かい?』

「宿泊!」「宿泊ですって!」「誰が添い寝してあげる?」「うふふっ」

『うちは基本、女郎達を旦那様の家へと持ち帰っていただき"楽しんで"貰う方式なんですが…えぇ、ご希望とあらば部屋の1つを用意致しますよ!』

と、半蛍の怪奇はニコニコと笑みを見せる。
言わずもがな、その宿泊とやらは高いぞ。

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ミナト [Eno.477] 2025-06-29 21:03:28 No.2700389

>>2654033
>>2654001
>>2653821
一歩一歩進むごとに顔色が悪くなっていく。
そりゃそうだ。大学生にとって、ただでさえ場違いな場所、周囲からの視線。嫌な汗が滲んでくる。

「いや、ははは……」

……。

「ちょっと待って!」

夕顔に小さく、しかしはっきり耳打ちする。

「このお宿、僕が思ってたのと違うっていうか……! えーと、僕はそういうつもりではなくて…! ええと……」

金だとか貞操だとかなんだとか、断る理由は様々ある。しかし、ここまで来て『同衾はできません』では周囲の女たちの面子を潰すようなものだ。

僕は、そこまでのお金は無い……! 泊まれないよ、ここには!」

理由のひとつを選んで、言った。おおよそ自分の好奇心から撒いた種だろうに、今は情けなく少女の怪奇に助けを求めている。

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[Eno.799] 2025-06-30 19:57:15 No.2797976

>>2700389

「…?…??」

あっ、伝わってない。むしろ思考が遅いかも。

「……お金、ない…?

・・・理解…した…?

「……蛍灯さん…お金なくて…泊まれる…?
『ア?金無しかい?』

違う汲むとこはそこじゃない。
せっかくこっそり…と貴方が話していたのに伝えた方がいいかもという100の善意で朝顔の怪奇が伝えてしまったがために、女楼主はあからさまに怪訝な顔をする…!

『冷やかしなら余所を当たってくれ!
礼儀知らずの無頼衆も癪だが金無し"虫"はもっとだよ!』

「あら」「あらあら」「この前の夕顔みた~い」「くすくす!」

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夕顔 [Eno.799] 2025-06-30 19:59:13 No.2798105

>>2700389

やれやれといった様子で踵を返し奥へ行こうとする彼女に、夕顔が、あの、と引き止める。

でも…蛍灯さん…このひと…初めてで…泊まるとこ…ない…
『………』

その言葉に、はぁ、と分かりやすいクソデカ溜め息…

『なぁ、お前さん。宿のアテはあるのかい?
ここら辺じゃ、金無しで泣きついたとこで泊まらせるとこもなけりゃ、泊まらせてもお前さんの身包み剥がして躄芥之窟所謂ゴミ捨て場とか瓦卵堂所謂スラム下層などに捨てられるがオチだよ。』

腕を組み、呆れた様子でそう教える怪奇。
死骸地ならまだマシ・・・・な宿屋の1つや2つあったかも・・しれないが、そもここは螺千城。生活が充実している場所なんぞ無法ものらに目を付けられ奪われるのが常である。

『腕に覚えがあるなら、野宿ぐらいは出来るかもねぇ。』
「………」

じー…

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ミナト [Eno.477] 2025-07-01 01:31:08 No.2838837

>>2798105
>>2797976

「ひゃあ」

凄まれれば、素直に縮こまった。金無しである。
ここは素直に帰ろうかとちらりと来た道を見やる。

(……帰り道がわからないって!)

初めて来た場所で、夕顔に連れてこられるままやってきたのだ。人混みのなか、ただでさえ酒が入っている輩が道なんて覚えているはずがない!
すでに時刻は夜中だろう。ひとり引き返して迷い、途中でうっかり眠りなんかしたら起きた頃にはそれこそ身ぐるみを剥がされゴミと一緒に捨てられるのは確実。
今までの戦闘経験から、弱いチンピラ怪奇程度なら追い返せるかもしれないが……。無用ないざこざを起こして螺千城に居づらくなるのは避けたかった。だって、あれほど安く飲み食いできる場所なんてなかなか無いもの!

「あ、あの……」

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ミナト [Eno.477] 2025-07-01 01:35:55 No.2839432

>>2838837
>>2798105
>>2797976
「今回眠るだけ……朝まで泊まらせてもらう代わりに、しばらくバイトとして働かせてもらえませんか? その、僕けっこうハードなバイト経験(※1)もあって、通常の接客(※2)ならできるし、清掃(※3)もできるので……」

上目遣いで、ちらりと女楼主を見た。周囲に見えるのは女郎が多い。つまり、裏方仕事を行うような男手が不足している、そうでなくとも少ないんじゃないか、という推測からの発言だった。
自身の労働力を対価に事が穏便に済むなら、それに越したことはない。
悪い提案じゃないと思うんですけど、みたいな顔でチラチラと見てくる。チラッチラッ……。

~注釈~
※1 ミドガルズ牧場のコンビニバイトのこと。
※2 それはそれで通常の接客とは言い難い
※3 ゾンビ退治のこと

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[Eno.799] 2025-07-01 21:03:20 No.2900119

>>2839432
>>2838837

『金無シ!』『金無シ虫!』
『イイヤ金無シ"魚"ダヨ!』『キャラキャラ!』


来た道…の、前の門前で提灯どもが好き勝手に笑ってる。
明けぬ夜の城ではあるものの、暗いところはどこまでも暗く…それこそ、何が潜んでいるか分からない恐怖を煽る。心なしか、暗がりから怪奇めいた眼が見つめてなくとも…


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蛍灯 [Eno.799] 2025-07-01 21:04:40 No.2900290

>>2839432

『うちは昔から"色恋沙汰は厄介事"と決めてっから若い衆 こうした店で働く男 は皆無性か両性ぐらいしか雇ってないよ。』

バッサリ!!!!!!!!!無情!!!!!!!!

ミドガルズ牧場~コンビニバイトの乱~の強者ならそれなりになぁ…
ただ楼主にとって惚れた腫れたな事情で店が振り回された歴史も知っているので、自分の代になってからは徹底的に線引きをしているらしく、険しい顔色は変わらなかった。……というよりも、

『ここの一見さん・・・・が簡単に働く言うんじゃないよ。
裏世界の"外"の方がまだ条件のいい働き手も稼ぎ場所もあるんだから。』
「…蛍灯さん、このひと…表者…の、そくだい?の…3年って…」
『表者の学生なら尚更言うんじゃないよおバカっ!』

優しいんだか厳しいんだが分からない叱責。</large>

『…ったく、仕方ないねぇ。』

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-01 21:06:12 No.2900562

>>2900119

『土雲』
『 は ぁ ー い ? 』

店の奥…の暗い天井からのそのそ……玄関までやってきたのは、はっきりと見て分かる大蜘蛛の怪奇。申し訳程度に和服がかけられてるような様相で、かく、かく、と鳥めいた頭の動き方をしている。

『"泊まり"の客だ、部屋1つ準備しな。』
『 は ぁ ー い 』

『それと夕顔の二胡にこも。
三井寺!客の履も……のはないから、荷物を持って差し上げな!』

続いて、大蜘蛛と入れ違いにちゅ、ちゅう、と鳴きながら鼠の怪奇が二匹ほどやってくる。こちらもまた軽めの和服を纏っており、曲がり月めいた眼で貴方を見上げてくる。

「…泊まって…いい、って…お金…なくても…
『あんたの給料から差し引くからね夕顔!!!!』

だそうです。とりあえず身包みを剥がされる心配はなさそう。

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ミナト [Eno.477] 2025-07-02 06:58:51 No.2935064

>>2900562
>>2900290
>>2900119
「無性…? 両性…??」

ハッとした顔をしている。カルチャーショックだ!
人生の中、人間として過ごしていた時間が圧倒的に多いこの男。怪奇の性別も人間のそれに準ずると思い込んでいたようだ。もちろん、今まで出会った怪奇にも男女の枠に収まらない存在は少なくなかった。しかし当然ながら、「あなたの性別は何ですか?」など聞くわけもなく、またわざわざ教えてもらう事もなく過ごしてきたのだ。知らないのも仕方がない。

(そういうのもあるのか……。漫画やアニメで聞いたことはあったけど、まさか怪奇にもいるとは……)

新しい情報を得て、うんうんと納得している。その次の瞬間に叱責が飛んできて、「ひゃいっ!」と情けない返事が口から飛び出すのだった。

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ミナト [Eno.477] 2025-07-02 07:06:09 No.2935349

>>2935064
>>2900562
>>2900290
>>2900119
どうやら泊まらせてくれるようだとわかると、ふぅと胸をなでおろした。少なくとも、このまま追い返され最悪野宿……なんてことはなさそうだ。

(螺千城で野宿なんて、翌朝魚の骨だけになってても不思議じゃないもんな。助かった……)

皮肉めいた安堵。
ふと、聞こえてきた声に釣られて天井を見上げる。土雲が部屋の準備をしに行けば、次には鼠の怪奇へ視線を向けた。女楼主の言葉の通り、持っていたカバンを預ける。

「わぁ……」

感嘆の声が漏れた。今でこそ様々な怪奇と出会いから学んで礼節をわきまえているが、元々神秘や怪奇への探究心が強い人間だ。死骸地とはまた違う怪奇特有の仕事ぶりを目の当たりにして、それらに目を奪われている。

「夕顔、二胡弾けるの? 三味線みたいなやつでしょ? へぇ、すごいじゃないか……え゛っ!?

のんきに夕顔へ話しかけていたら、女楼主の叱責を聞いて驚いた。夕顔の給料が減る!? 再びアワアワと慌てるが、しかしここまで来ては自分に打てる手は野宿しかない。しかし野宿をしたら多分死ぬ。

「あぁ、えーと、んん……。ごめんっ、夕顔! 後で埋め合わせするから!!」

好きなもの買ってあげるだとか、行きたいところあったら連れてってあげるだとか。なんとか自分のできる範囲の中で埋め合わせができそうな選択肢を並べ立てている。情けないことこの上なし。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-03 21:01:47 No.3032677

>>2935064
『ぢう』

Q.貴方を見上げてくるこの鉄鼠は雄でしょうか?雌でしょうか?
それは楼主のみが知る――


『ぢう~』
「?」

貴方の考えていることを知らず、カバンを受け取った雑用が階段を上がっていくところを見送り、それからゆ~っくり貴方の方へとまた向き直る怪奇。

「……うん?…うん…

給料の減額もいつも通り…というか分かってなさそうな様子で特に顔を顰めることなどなく、埋め合わせ…?と初めて聞いた言葉をゆっくり咀嚼しながら、怪奇は真っ黒な瞳でただ貴方を見ていた…

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-03 21:02:24 No.3032766

>>2935349

程なくして部屋の用意が出来たようで、朝顔の怪奇は貴方を中へと招き入れ、階段を上がっていく。
2階は特に(暇を持て余してる)女郎達が多く、歩いている貴方と可愛い妹分をじろじろと見ている……見目麗しい、だが、よくよく見れば複眼であったり手足と違う"手足"やら触覚が伸びていたりと、貴方から見れば虫の特徴を持った女の怪奇が多いと分かるだろう。

「ねぇね、食べられそうなとこある?」「人魚って不老不死だっけ~?」「でも匂いがねぇ」「触ってみたいわぁ、うふふ」「夕顔の"初めて"じゃないの?」「ぷにぷにしてそ~」

くすくす!


我慢出来ずに首を伸ばして覗き込む怪奇もいたかもしれない…

「………うん?弾ける…二胡…姉さんたちに…教えて貰った…

1階で聞いた質問を今更返してくる怪奇…

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ミナト [Eno.477] 2025-07-03 22:41:42 No.3041535

>>3032766
>>3032677
(野宿にならなくてよかった……!)

部屋へ向かう最中、女郎たちの会話を耳にする。ジロジロ見るのも失礼かと視線は向けないが、ミナトの大きな耳はその声音を捉えていた。店の中でこの様子であれば、外での野宿など推して知るべし。
首を伸ばして覗き込む怪奇がいれば、「わぁ!」と驚いた。内装はきれいなものだろうに、まるでお化け屋敷だ。

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ミナト [Eno.477] 2025-07-03 22:47:01 No.3041927

>>3041535
>>3032766
>>3032677
部屋に着き扉が閉まれば、ふぅと腰を下ろした。緊張がほぐれたのだろう。元々酒を飲んでいたのもあって、表情も眠たげだ。
例えばの話、部屋に艶やかな照明が施されていたとしてもあまり気にしないだろう。先程の怪奇女郎たちに比べれば、なんてことはない。

「ふぅ。夕顔はいつも、……ここで働いてるの? 大変だねぇ」

あの女楼主や女郎たちに囲まれて、と言いかけて飲み込んだ。自身は気の強い女性――いや、男性でもそうなのだが――には尻込みする質だが、夕顔は別かもしれない。内情を知らない身分で差し出がましい気がした。
部屋に敷かれている布団の上に寝転んだ。そのまま目を閉じて……、またパチリと見開く。

(このまま夕顔になにもさせずに寝たら、この子はまた怒られるかもしれないぞ!)

すこし考える。身を起こして、夕顔の方を見た。

「ねぇ、僕が寝付くまで二胡を弾いてくれる? そうしたら、よく眠れると思うんだ。大丈夫、今の僕けっこう眠いからさ。きっと寝付くまでそんなに時間はかからないよ。だから、お願い」

うとうとしながら夕顔に話しかける。そのまま、二胡を弾いてもらえれば、きっと朝までぐっすりだろう。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-05 23:36:15 No.3173102

>>3041927
>>3041535
部屋の中は簡素であった、表世界の繁華街と比べると。
ひと昔の和室の内装で、床は虫食いのない畳。布団は二つ\ぴったり/と並べられており、特別ふかふかではないが表世界のものと変わらないぐらいの品質。点々、と置かれた灯りは中が蝋燭のようで、時折火が揺らめく様子が分かる。そして、夕顔が少しばかり窓の戸を開けば目下には賑やかな声と色とりどりの光が一つ二つに、三つ。明けぬ夜も、昇る日もないような永遠の夜が続いている。


「…そう?…姉さんたちが…拾ったから…

窓辺辺りに腰掛けながら、ぼんやり、二胡を手に持ったまま外を見て、それから、ゆっくり、貴方を見る。

大変…は、ない……楽しい…?かも…

女楼主は厳しくも面倒見がよく、姉さんたち女郎達は口で何を言ってもよくこの朝顔を可愛がる。
今まで貴方が見てきたままの通り、この怪奇はぼんやりとしていて鈍臭く、どこか抜けているが…それでも、このような店に置いて貰えてるのだ。
そうして、ほんのたまに、貴方のような優しい人が彼女に気をかけてくれる。それで日々を、奇跡的に平穏に暮らせているのであった。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-05 23:48:39 No.3174132

>>3041927
「…?うん…分かった…

身を起こしてこちらを見る貴方に、相変わらず分かってるようなそうでないような、曖昧な表情を向ける怪奇。お願い…なら、応えるしかないよなぁ…というより多分楼主は少しぐらい働け!というつもりで楽器を運ばせたのかもしれない…

怪奇は姿勢を直し、二胡も抱え直す。
この楽器は怪奇ではない、純粋な道具である。

「……♪……♪」

伴奏は口遊み。少し高め、しかし、儚く消えそうな声色。
それから、二胡の弦に指を添え、尾の毛で作られた弓をその弦の間に通し、左右に擦る。

~♪

バイオリンにも似てるような、奥深い音。
外で響く往来の声が鳴りを潜め、この部屋には怪奇の声と二胡の音だけが響く。
大きすぎず、小さすぎず。あれほど小さかった女の声もよく聞こえ。
貴方が眠りにつくための唄声が、薄暗い室内を包む。

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-07 19:49:35 No.3360762

>>3174132
>>3173102
夕顔が楽しいと答えれば、優しく微笑んだ。
薄暗い部屋の中、窓の外から聞こえる声量も程よくこれまたミナトの眠気を誘う。
視線は夕顔に向けたまま、布団の上で横になる。夕顔が二胡を弾きはじめれば、今にも眠ってしまいそうなほど。

「上手だねぇ」

その演奏、その唄声をもっと聞いていたくて頑張って起きている様子だ。

「はじめて聞く音楽だ。へへ。僕、ここに来れてよかった」

馴染みは無い、しかし心地いい音楽を聞きながら布団に沈んでいる。
螺千城は危険の多い街だ。だが、それだけじゃない。中に踏み入って初めて分かる怪奇たちの生活や喜びが、こうして確かに存在している。そういったものに触れられることが、この男にとってはとても幸せなことだった。

「次からはひとりでも歩けるように、ちゃんとこの辺りの道を覚えてくるよ。お互いやることも多いだろうから頻繁には無理だろうけど、たまにいっしょに遊びに出かけよう……。死骸地でおやつを買ってもいいし、他にも……。……」

言葉が途切れた。すぐに、すぅすぅと寝息が聞こえてくる。
すっかり眠っている。その顔は幸せそうだ。

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-07 19:53:00 No.3360964

>>3360762
>>3174132
>>3173102
「んあ……」

パチリと目を覚ます。きれいな布団と美しい音楽で、すっかり熟睡してしまった。贅沢な睡眠だったなぁとぼんやり思いながら、身を起こし伸びをする。
寝ぼけ眼で、持っていたスマートデバイスを見た。指し示す時刻は10時5分。

「10時……」

確か、今日は1限目から講義があったはずだ。

「……」

「ち、遅刻だ―――ッ!!!」

寝ぼけた目を一気に見開いて、ドタバタしはじめた。朝からあまりに場違いな慌ただしさだ。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-10 17:09:25 No.3530917

>>3360762
「……うん……うん…?
……うん…


二胡の音は、揺り籠を揺らすように穏やかで優しく。
怪奇なら神秘、だが。これは神秘ではなく、純粋な演奏の力。


覚えてくる、に頷き。遊びに、に疑問符付きの頷き。おやつ、にまた頷き。

「…」

そうして寝息が聞こえてきても、怪奇はまだ弾き続けていた。
弾きながらよく、物事を考えるの癖なもので。

ふしぎなひと。やさしい。しんせつなのかな。
おこらない。あそんでくれる。


見目は大人の女性らしいのに、思考は幼い子供から成長途中。
だから学ぶも覚えるもゆっくりではあるが――

「…おやすみなさい…

貴方を、貴方としてちゃんと記憶しただろう。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-10 17:09:46 No.3530932

>>3360964

さて、貴方が起きれば朝――なわけがなく。
裏世界、ましてや閉じた玩具箱の城の中では永年の夜なもの。
スマートデバイスはしっかり機能しているので表世界はちゃんと10時、遅刻ですね。諦めな。

「…おはよう…?

スー…と襖を開いて入ってきたのは、昨晩の演者たる朝顔の怪奇。
両手には朝ご飯が乗せられた台を持っているのだが…あれ、慌ただしいな?どうしたんだろ??

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-11 01:12:13 No.3556228

>>3530932
>>3530917
「おはよう! 夕顔、朝早いね!?」

 10時は朝早い時間ではない。

「いや、それがね。遅刻なんだよ!
 外が夜だから一瞬『あれ、もしかしてまだ夜の10時なのかな?』って希望を持ったけど、結局そんなことは無くて全然遅刻なんだよ~!」

 夜10時だったら22時と示すはずのデジタル形式スマートデバイス。

「窓の外を夜にできるんだったら、朝になったら朝日を背景にコケコッコーのSE鳴らしてよ~!

 ……あれ、それ朝食? 僕に? わぁ、ありがとう」

 さっきまでバタバタしてたのに、朝食を見れば静かになった。
 もぐもぐ。

 「おいしいねぇ。これ、なんの野菜? 裏世界産なのかな」

 もぐもぐ……。
 もぐもぐ…………。

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-11 01:16:05 No.3556342

>>3556228
>>3530932
>>3530917
「ごちそうさまでした」

 ふぅ、と朝食を平らげる。箸を置くと、ゆったりと立ち上がり――

「遅刻だ――ッッ!!!」

 再びバタバタしだした。メリハリのあるドタバタ加減である。

ねぇ、ここから一番近い表世界への扉ってわかる!? 螺千城ってごちゃごちゃしててどこが表に繋がってるのか全然わからなくて……。というか、螺千城って表につながる扉あるの!?」

 どうやら、螺千城には毎回地上にある出入り口から入ってきているようだ。カバンを持ち帽子をかぶれば、棚の戸やら急須の蓋やらを開けて表世界へ続いてないか調べている。そんな小さな場所から出入りできないだろうに。
 表世界への道を教えれば、そのまま飛び出して行く勢いだ。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-13 00:37:18 No.3652968

>>3556228

・・・ぽん、ぽん、ぽん

元気だなぁ…お酒…飲んだらぐらぐらするって…
でも元気だなぁ…


と、貴方の話す言葉を聞いてから…

「…うん…」

朝ご飯の部分だけ頷き、貴方へと差し出し食べて貰う…
…食べてるものは、ひと昔前の朝ご飯といったもので、この螺千城では珍しく・・・整った食事だ。確かに裏世界産しかないが表の人間が食べる触感や味のものと変わらないだろう。ご飯が何故か、おにぎりの形で、不格好。朝顔の怪奇が握ったものだった。

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蛍灯 [Eno.799] 2025-07-13 00:37:40 No.3652983

>>3556342

そして綺麗に平らげられた後の遅刻だ――ッッ!!!にびく、と肩を跳ねさせた。メリハリのあるドタバタ加減だ!

『ったく…朝から煩いねぇ、飯を与えなくてよかったんじゃないかい。』

と、呆れた声で現れたのは女楼主の怪奇だ。部屋のあちこちを物色する貴方の肩を軽く引き、はい、と手渡しする…折り紙、ちょうちょだ。手に乗せてみると、ふわり、と浮かび…本物の蝶のような飛び方をし始める。

『コイツに近場の"出入り口"を記したから、後は追っかけな。寄り道しなきゃ、真っ直ぐ"表"に出れるよ。』
「…蛍灯さん…」
『ほら、お客様にご挨拶は?』

どん、と夕顔の背中を押す怪奇。

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夕顔 [Eno.799] 2025-07-13 00:38:00 No.3653002

>>3556342

「……また、ね…

気持ち、うすら笑みは見せたかもしれない。

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-14 18:14:33 No.3751419

>>3653002
>>3652983
>>3652968
「折り紙じゃ、遅刻した大学生の心は慰められませんよ。
 ……わぁ!」

 折り紙の蝶に対し、素っ頓狂な返答をする。手に乗せれば、不思議なことに紙の蝶が飛び始めた。目を丸くして見つめている。

「へぇ、すごいな…。世界はまだまだ知らないものだらけですね。……って、感心してる場合じゃない! せめて2限目始まる前には束大に着かないと…! ありがとうございます!」

 蝶を追いかけるため、慌てて廊下に飛び出そうとする。その直前で夕顔の笑みと挨拶に気付き――

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三咲ミナト [Eno.477] 2025-07-14 18:17:11 No.3751569

>>3751419
>>3653002
>>3652983
>>3652968
「またね!」

 笑顔を返した。
 夕顔と蛍灯へ手を振れば、また急いで蝶を追いかけていく。人魚の尾では足音などしないはずなのに、誰かにぶつかりそうになり「すみません!」だの、すっ転んだ音だのとにかく騒がしい。
しばらくすればそんな騒がしい音も聞こえなくなった。

 ――それからというもの、乙通女宿には桃色の人魚が度々顔を出すようになったという。店に金を落とさないのは、相変わらずのようだが……。

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 一番思い出深いのは、乙通女宿へ度々訪れるようになったことだろうか。
顔を出した際には夕顔と一緒に遊んだり、おやつを買ってあげたりしている。もちろん、彼女と遊ぶのが楽しいからしているのだけど、それはそれとして彼女が負担した宿泊代が結局いくらだったのか、怖くて未だに聞けてない……。

 そうだ、宿で聞いて衝撃的だった話がある。怪奇には男女の区別以外に両性と無性がいるという話だ。性に関する話題はデリケートなので自分から振ることはないのだけど、そういうものもあると知っていれば今後配慮ができる。聞けてよかった。



ミドガルズ牧場でのこと

[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 21:13:37 No.2271912

*ポヨヨヨヨ……*

うわーッ、アブダクション!!
 でもUFOとの出会い、ちょっと夢だったんだよね。うれし~という気持ちと、どうしようという気持ちが半々」

UFOから降りる人工的な光に照らされ、降ろされもせず連れ去られもせず、中途半端に浮遊している。

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-20 21:18:30 No.2272163

「僕、このまま連れ去られ…ンミ゙ッ
落とされ、地面に突き刺さった。
――しばらくもがいていたが数分で諦め、牧場に生えるつくしと共に背景の一部になったのである。

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 ミドガルズ牧場を訪れたのは偶然の出来事だった。はじめて目にしたUFOに連れ去られ、喜びと戸惑いで混乱しているうちに牧場に落とされた。ふなまつりで訪れた屋台の本拠地ということもあって、それ以来しばしば足を運んでいる。

 ミドガルズ牧場は北欧神話と関係があるようだけど、正直なところ僕は北欧神話をよく知らない。

 甲賀の神秘能力についても……、いや個人的な記録だとしても、他人の神秘についてとやかく書くのはやめておこう。神秘は暴かれると消えてしまうというし。

 最近は夏バテ防止のために牛乳をよく買いにいく。それまで牛乳の違いなんてわからないと思っていたけれど、ミドガルズ牧場の牛乳はスーパーで買うものよりおいしい気がする。それが質の違いなのか僕の舌の問題なのかはよくわからない。

 牛乳に限らず、あそこで売っている品々はすべて動物たちから得たものを牧場の主やバイトたちが加工して直売所に並べているらしい。牧場を維持するだけでもすごいのに、さらに加工販売も行うというのだから驚きだ。牧場への愛や情熱がなせる技なのだろうか?



フレッシュマーケットでのこと
[アキシマ物流ターミナル][フレッシュマーケット]
ミナト [Eno.477] 2025-06-21 16:09:54 No.2313024

(あ~…、ここ、前に商品撮影してたらめちゃくちゃ怒られた店だ…。ヤダな~……。
 ……いや、でも、今思えば僕も悪かったかな。あ~、レジにあのときの人いる。
 こっちには度々来るだろうし、このままコソコソしながら店の前通るのも嫌だな…。うーん…、ん~……)

店の前でコソコソモヤモヤ。一ヶ月前の出来事を思い出している。>>580852 >>583490
10分ほど店の前でうろうろした結果、他の客にまぎれて商品を手にしてレジへ。

「あ~…、あの、すみません。あの時は――」

店員と何やら話している。しばらくして、ミナトは笑顔で店を出てきた。

「他のお客さんの邪魔にならないなら撮影していいって~。あ~、よかった…。ひとつ、胸のつっかえが取れた……。
 じゃ、さっそく…、おっと、フラッシュ撮影は無しでね。数枚だけ…」

控えめに商品をパシャリと撮影した。

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 これは僕の気持ちが軽くなった出来事。
 以前、依頼のためにカメラ撮影を繰り返して怒られたお店に謝りに行った。ずっと頭のなかでもやもやしていたものが晴れてスッキリした。今度から、撮影をするときはフラッシュと音に気をつけよう。


アザーサイドチャペルでのこと
[北部学生区][アザーサイドチャペル]
ミナト [Eno.477] 2025-06-22 13:34:48 No.2357148

宗教学特別演習を受けている。
他の受講生と共に席に座り、メモを取りながらその言葉に耳を傾ける。

ミナトは民俗学を好んでいた。特に伝承や民間信仰というのはこの男の興味の矛先が向きがちな分野だった。
民俗学と宗教学。「文化」と「宗教」。対象とする違いはあれど、伝承や民間信仰を紐解くには両者の視点が不可欠だろう。

(ノーブルってちょっとお硬めの学校だと思ってたけど、静かだし講義もわかりやすいな。
 いや、別に束大が特別悪いわけじゃないけど……、あっちはとにかく人が多いからなぁ)

時折周囲を見渡し、束大とノーブル会の違いを考える。もちろん、講師の言葉へも引き続き意識を向けながら。

「相手を思いやる心、その人の幸せを願う気持ち……」

講師である天ヶ瀬を見た。彼女の言葉を小さく反芻する。

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[北部学生区][アザーサイドチャペル]
ミナト [Eno.477] 2025-06-22 13:43:59 No.2357556

>>2357148
演習を終えて席を立てば、心做しか背筋がしゃんと伸びている気がする。天ヶ瀬の話を聞いてやる気が出たのだろうか。

「想いを神秘にね。……今の僕にも神秘が扱えるのか? あっ、そういえば普段使ってるアレも神秘か…。すっかり忘れてた。
 まぁ、こういうガイダンスをやるくらいだ。みんなできてるんだし、僕だって……。 ……はっ!」

チャペル内の花瓶に挿された、少ししおれた花に手をかざした。何の変化もない。

「……想いを神秘になんて、本当にできるのかぁ~?」

人間の姿のままでは難しいのかもしれない。なんとか伝道師プリーチャーの神秘を扱ってみようと、チャペル内でしばらく、ひとりでうにゃうにゃと試行錯誤を繰り返していた。

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 宗教学特別演習を受けた。演習で身につけた技能は実戦で十分すぎるほどに役にたっている。僕にはこういった形の神秘の扱いが向いているらしい。

 残念なのは、これが人魚の姿でないと扱えないということだ。人間の姿のままではそもそも神秘を扱う適性が無いのだろうと聞かされた。人魚の姿で演習を受けるのは少し恥ずかしかった。周りと違うことを今更恐れることはないけれど、それでも全身ピンクの人魚姿というのはちょっと……。いや、これも良くない思考なんだろう。自分の容姿を恥だと思うのは褒められた考えではない。胸を張っていくぞ。

 祝福については、少し複雑な思いがある。
 僕自身が人魚の姿を取れるようになったのは、昔出会った怪奇が与えた祝福の力ではないかと神秘管理局の紫村さんは言っていた。そんな僕が祝福を扱うというのは、まるでその怪奇と同じような存在へと近づいているようじゃないか?
 僕の与える祝福は技能の範囲内であって、こんなに何年も長持ちするものではないけれど。考えすぎだろうか。


裏世界初心者勉強会のこと
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ミナト [Eno.477] 2025-06-22 21:32:28 No.2382187

「『人間らしい』とされることって、時代によって変わってそうだよね」

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ミナト [Eno.477] 2025-06-22 21:43:25 No.2383364

「でも、表世界で人権と戸籍と社会的営みを持っているなら人間なのでは?って僕は思うなぁ。これ、もしかしてちょっと重い話かな…?」

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ミナト [Eno.477] 2025-06-22 21:47:47 No.2383689

「いや…、これ喋るならもっと考えてから喋ったほうがいいな!? むずかし…」

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 まずはじめに、裏世界に不慣れな人々が自分以外にもいて安心したというのが第一の印象だった。裏世界初心者勉強会へはじめて訪れたのは、確か僕が入院する前のことだったと思う。それまでは、裏世界でガイダンスを受けるときですら「周囲の人々は自分よりもずっと裏世界に詳しいのだろう」と考えていた。それは実際に、そういった人々に出会う機会の方が多かったからなのだけど……。

 勉強会には――十把一絡げな表現になってしまうけれど――誠実な人が多く集まっているように感じる。
 みんな、問題に対して真剣に向き合い、目をそらさず理解しようとする。寄り添おうと努めている。僕からはそんな風に見えている。勉強会にはたまに顔を出す程度の人間の感想だけどね。

 えらいなぁ。あそこには特に、高校生が多い。けれど皆、高校生だった頃の僕とは大違いだ。僕が高校生だったころはもっと……。
 いや、この話は悲しくなるから書かないでおく。神秘が無いとされる表世界で「都市伝説は実在する」なんて言っていれば白い目で見られるのは当然の話なのだ。



空の話とか
[北摩湖][湖畔]
ミナト [Eno.477] 2025-06-23 03:06:36 No.2399486

 深夜の湖畔に立ち寄った。いくつかの街灯はあるが、それだけ。空を見上げれば星々が見える。

「夜だ」

 ベンチに座る。持っていた缶コーヒーを開けた。

「こっちには夜があって、更には昼まであるんだもんなぁ。贅沢だな。
 ……あー、星を見ながらのコーヒーうますぎる」

 星を見上げながら、コーヒーを味わい始めた。

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 もっと楽しいことを書こう。
 そういえば、以前北摩湖で見た夜空がとても綺麗だった。都会でもあんなにきれいな星空が見れるのかと感心したものだ。

 久しぶりの”夜”だった。なにせ裏世界に入院していたのだ。時計の針が0時を示しても、病室の窓から見えるのは夕焼けのみ。いくら裏世界に目を輝かせていたとはいえ、ああも変わらない景色を毎日見せられてはうんざりしてしまう。

 あれは、表世界は宝物のように素敵な場所なのだと実感した夜だった。

[ムラヤマ自然保護区][庭園]
ミナト [Eno.477] 2025-06-23 19:42:53 No.2433009

――午後のおやつ時。大学の演習を終えたミナトは庭園を訪れていた。
青空の下、ガゼボのベンチに座っている。ガゼボの周りには、よく手入れされた花々が優しく揺れていた。

「いい昼下がりだ。風も穏やかで、天気も良くて……。気が変わっちゃったな。こういう時は昼寝に限る」

元々、ノーブル会美化運動推進係から依頼された庭園の手入れをするつもりだった。参加は任意だが、報酬が出るとなれば意欲が湧くというもの。しかし、この穏やかな午後の陽気がそんな意欲を容易く消し去ってしまった。
ベンチの上で寝転んだ。行儀の悪さなんて気にしない。

「いいねぇ。青空は……」

「ぐぅ……」

青い空には、わた雲がゆっくりと流れている。それらをしばらく眺めていれば、夢の中に誘われるのに時間はかからなかった。

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 青空もそうだ。裏世界の青空に関しては、夜空以上に珍しいかもしれない。それが、表世界では毎日見れる! 当たり前だが、当たり前ではないのだ。依頼をこなすために庭園へ訪れたときは、その青空の陽気に当てられてついサボってしまったほどだ。そう、あれは青空のせいだからね。

[月見台][『観測のゆらぎ』]
ミナト [Eno.477] 2025-06-23 21:14:12 No.2438469

泳いでいる。

「星だ」

眼の前にあった星を手に取った。眺めてみた。匂いを嗅いでみた。口に入れてみた。

「レモン味!」

レモン味だった。

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 皮肉なことと言うべきか、あんなに触れたかったオカルトの世界――今の僕が言うところの裏世界で過ごしていると、表世界の良いところが次々に見えてくる。神秘を扱えるようになり、それが日常になれば更に強まっていった。一方で、裏世界に広がる夕焼け空や依頼での戦闘行為はもはやただの日常であり、思うところはない。あぁ、僕は見るなのタブーに興奮していただけだったのだろうか……。


ジャズコンサート
[武蔵野メディアパーク][シビックホール]
ミナト [Eno.477] 2025-06-24 02:36:58 No.2455967

 ジャズのナイトコンサートを鑑賞していた。モダンなコンサートホールで、ミナトは観客席に座りながら演奏に耳を傾ける。舞台はムーディーで温かみのある照明に照らされていた。ピアノ、サックス、ウッドベース、演奏者たちが各々の楽器を用いて小気味良いリズムを奏でている。

(あ~……)

(酒が飲みたい)

 思わず、ごくりと唾を飲み込んだ。
 ジャズの音色を聞くと、決まって酒が飲みたくなる。残念なことに、ここはジャズバーではなくコンサートホール。飲食は禁止。
 
(これが音楽の力? いいや、ただのパブロフの犬かな……)

 都合がつかなくなったという大学の友人が、余ったコンサートチケットを1枚譲ってくれた。チケットをくれた彼はアメリカ民俗学に関心があったようだから、その流れで購入したものなのだろう。残念なことに、そのチケットは結果としてミナトの飲酒欲を刺激するばかりとなってしまったが。

 ジャズは好きだ。音楽を楽しむ心の余裕くらいは持ち合わせているつもりでいる。このコンサートだって素晴らしいものだ。しかし……

(コンサートが終わったら、酒を飲みに行こう)

 完全なるパブロフの犬と化したミナトは、ジャズのリズムに身を委ねながら、同時にこのコンサートが終わったらどんな酒を飲もうかとひたすらに思考を巡らせていた。

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 ひとりで黙々と文章を書いていると、どうにもネガティブな方向へと気持ちが傾いてしまう。もっと楽しい思い出を書き残そう。そうだ、ジャズのコンサートに行ったこととか。

 武蔵野メディアパークでジャズコンサートがあったので見に行った。友人にチケットを譲ってもらったのだ。学割が利くとはいえなかなか値の張るコンサートだっただけに、その演奏はすばらしいものだった。

 ただ、演奏が見事だったからなのか、やたらと飲酒欲を煽られた気がする。上演中、とにかく酒が飲みたくて仕方なかった。ジャズを聞くとあんなに酒が飲みたくなるのはなぜだろう。僕だけなのだろうか。

 コンサート終了後、一目散にビアガーデンへと走っていった。ビールで流し込む焼き鳥がやたらとうまかった。ビアガーデンで飲んでいたら、チケットを譲ってくれた友人とたまたま出会い、近状話をして盛り上がった。



ミドガルズ牧場コンビニバイト編
[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 20:44:32 No.2525022

「学割で安かったから買ったんだ。着てみてわかるメイド服の良さ…。気持ちが引き締まるよ。やっぱり服装は大事だな…」
心なしか顔がキリッとしている。

「安心しろ棚町。僕はさすがにこの牧場以外でこの服は着ない。北摩のかわいい働くメイドさんの座はお前に譲るさ……。蒙昧な北摩市民共にそのかわいいメイド服姿を見せつけてやれ……」

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 21:58:15 No.2529019

「ほう、とうとう出してきたか。あの超過酷な夏の同人誌即売会付近コンビニでも使用されるという最強のコンビニエンス・ロボット、その名も《デスデリカ》――!」

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 22:00:19 No.2529124

「僕も負けてられないね…! いくぞ接客スタート! っらっしゃいぁせぇ~!
【店に入ってくる人数を発言No末尾で決定】

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 22:03:44 No.2529350

>>2529124
「これ客? ゾンビ? まぁいいか、どっちも大差ないだろ。
 はぁ、たばこ? マ●ボロ? 銘柄じゃなくて番号でおねがいします」

『ヴァ~』

「ゔぁ~じゃなくて」

【発言No末尾で客/ゾンビの撃退数を決定】

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 22:09:55 No.2529823

>>2529350
「だから番号でおねがいしますって言ってるだろッッ!!!」

バーコード読み取るやつでピッとした。
関係ない客Aに 2,000 事象ダメージ!
関係ない客Aをノックアウトした!

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 22:19:59 No.2530308

>>2529823
客をひとり潰したってのにまだ客が!? 計算が合わないじゃないか…。一体どういうことだ!?
まぁ、いい…。この地獄のコンビニでどっちが生き残るか、勝負といこうじゃないかお客さん……!」

【発言No末尾で客/ゾンビの撃退数を決定】

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[ムラヤマ自然保護区][ミドガルズ牧場]
ミナト [Eno.477] 2025-06-25 22:25:04 No.2530560

>>2530308
「客がメイドに勝てると思うなーーッッ!!!」

ピッてするやつですべてのゾンビをノックアウトした!
バイト代:1000円×4人-10000円(罰金) = -6000円

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 ビアガーデンで友人と盛り上がったのはいいけれど、表世界での酒は高いことをすっかり失念しており一夜にして金欠になってしまった。最近は螺千城で飲むことが多かったのでうっかりしていた……。

 ちょうど、ミドガルズ牧場にコンビニが生えた(これ、自分で書いてても意味がわからないのだけど、実際に地面から生えてきたのだ)ので働くことにした。短期バイトでも良いと聞いていたし、知り合いの店なら働きやすいだろうと思ったからだ。結論を書くと、別に働きやすくはなかった。目が回るほどの忙しさ。世のコンビニバイトはすごい。

 働いた感想を書きたいけれど、嵐のような出来事の連続でうまく記録を残せる自信が無い。風邪引いた時に見る夢すぎる。実際に風邪を引いて夢を見ていたのでは……?
 これだけは書ける。たぶん、もうメイド服は着ない。人に向けてピッもしません。

 そうそう、あの牧場は競馬も主催していて……。いやぁ、こう書くとすごいな。

 ここまで来るとまさに行動力の化身だなと思った。馬だ、馬。そりゃ、牧場には馬がいるけれど、だからといってすぐ競馬ができるというものではないだろう。それを成せるだけの金があったらしい。6月頭ごろ、ミドガルズ牧場が出した牛串屋で「このふなまつりで8000万円を売り上げて胸像を立てる」だとか話していた気がするけど、本当に稼ぎきったのだろうか。

 メイドはしないけど、ジョッキーはやってみたいかも。


*diary202507.txt(2)へ続く*