RECORD
神秘についての会話:書面、音声記録なし、閲覧不可

「--ちゃんはさ~……」
「俺の異能って、分かる?」
「調べようと思えば調べられますが、
中身を覗くことになってしまいますよ。
あまり良い気分にはならないかと思います」

「きみはそれを何時もは控えてる?」
「不快感を与えたくありませんからね。
私だって、覗かれるのは好きではありません」

「えらすぎ……」
「お褒めいただきどうも」
「それで……覗かれたいんですか?
必要があるなら、いいですよ。
滅多に機会もありませんから」

「ちょっとわくわくしてる?」
「否定はしません。好奇心には勝てませんから」

「良識と好奇心の板挟み?」
「最低限の礼儀ですよ」

「俺には礼儀がないって言われてる気がしてきた……」
「あなた、初対面の会話を思い出してくださいよ……」

「その節はすみませんでした……」
「改めてくださいます?」

「ません」
「なら、謝らなくて結構ですよ。
全くもう……」
「あなたは……」
「寄生生物のようなものですね。
人の身体を修復して、乗っ取る……と言えば、聞こえが悪いのですが」
「臓器移植をした人間の嗜好が、移植元の人間に似通う」
「そんなお話があります」
「そういうものに近いように思えます。
あなたはかつて、頭部を損傷したのでしょう?
恐らく、本来であればもう目覚める事はなかったのだと思いますが」
「あなたは……私たちは、どうしたって、
あちら側に触れてしまいましたから」
「不可逆の変化です。時間の流れと同じですね」
「あなたはそれが嫌だった。
何も朽ちてほしくはなかったし、
何も変わってほしくはなかった。
永遠に、ただ友人と一緒に居たかった」
「あなたの体液には、停滞の概念が宿っているように思えます」
「皮肉ですね」
「もう戻れなくなってから……、
私たちは、過去を眺めてしまう。
何より大切な宝物のように」
「もう戻るよすがは、どこにもないのに……」
「あなたは年を取らないかもしれません。
何せ、停滞があなたの底にある。
あなたは死なないかもしれません。
何せ、死のうにも傷口が開いた端から止まってしまう。
あなたはどうしたって続いてしまいます。
もし、死にたくなったのなら……」

「ろくでもなくて笑っちゃうよ」

「どう返事したっけな」

「忘れちゃった」