RECORD

Eno.501 白樫 日向の記録

正しい居場所

黒松の様子が、どうにも気に入らない。

友達が増えた?
不良のくせに、周囲から気軽に声を掛けられるようになった?

笑わせる。

あれほど無口で、教室にいても空気のような存在だったくせに。
高校一年の頃なんて、一週間の間にクラスメイトと一言も交わさないことだって珍しくなかったはずだ。

本人は「友達なんて増えてない、皆が優しいだけだ」と言っていた。

だけど、奥深君と休日にたびたび二人で出かけ、下の名前で呼んでもらって、
馬鹿みたいに笑うその顔を見れば分かる。
友達ができて楽しいかも、みたいに思っていることくらい。

冗談じゃない。
どうしてあんなやつに声を掛ける人間がいる?
どうしてあんなやつが笑っていられる?

俺は親の七光りに甘んじることなく努力を積み重ね、成果を出して、
周りとも友情を育んで、大人を含めた周囲から一目置かれるようになった。

じゃあ黒松は? 何をした?
人並みのことさえまともにできなかったはずだ。
どの分野に於いても俺に劣っているあの男は、
何の努力もせずに調子に乗ってのうのうと生きている。

あいつの居場所は孤独の中にこそあるべきで、決して光の下などではない。
ちゃんとした正しい居場所に、俺が戻してやらなければ。