RECORD
Eno.232 月影誠の記録
9/16
兄の言葉を聞いた次の日は、殆ど何も食べれない。
美味しいと思う食べ物を食べようものなら、一口で吐き気が襲ってきてその次がもう食べられなくなる。
その次の日は大体元通りになるから、特別困る話でもないのだけれど。
心配かけたいわけじゃないから、どうにかなればいいのに、と思う。
帰ってきて、今日は外が特に暑くて家の中に居て。
今日は音楽を聴いてみて、好きになれそうな音楽を探すことにした。
曲調が激しいもの、穏やかなもの。
ロックもバラードも現代の音楽も昭和歌謡曲も、一通り聞いてみて。
やっぱりどれも、ピンとこない。
どうしたって、『好き』なものが分からない。
音が鳴っている。
いいな、と思って、それだけ。
好意的な感情がうっすらと浮かんで、止まる。
カラオケに行ったときは、知っている人が歌っていたからか普通に楽しんでいたな、と思い返して。
大本の音楽には無頓着なのだと思い知った。
情操教育が失敗している。



揺らいでいく。自分という輪郭が。
分からなくなる。生きている自分が。
加虐欲をどうにかする術がもしも、推測通りだったならば。
以前ほど殺さなくて済むようになったのも、目星をつけた『信仰』によるものだとして。
その信仰の結果、自身の定義と存在が揺らいでいるのならば。
いなくなってから一か月がたった。
つまり、自分の誕生日が過ぎて一か月がたった、ということでもある。
生きやすくなるためには。
感情を殺して、痛みを麻痺させて、諦観するのが一番楽だ。
あぁ、そうか。
そもそもの話。
最初から、そんなもの不明瞭だったのかもしれない。
美味しいと思う食べ物を食べようものなら、一口で吐き気が襲ってきてその次がもう食べられなくなる。
その次の日は大体元通りになるから、特別困る話でもないのだけれど。
心配かけたいわけじゃないから、どうにかなればいいのに、と思う。
帰ってきて、今日は外が特に暑くて家の中に居て。
今日は音楽を聴いてみて、好きになれそうな音楽を探すことにした。
曲調が激しいもの、穏やかなもの。
ロックもバラードも現代の音楽も昭和歌謡曲も、一通り聞いてみて。
やっぱりどれも、ピンとこない。
どうしたって、『好き』なものが分からない。
音が鳴っている。
いいな、と思って、それだけ。
好意的な感情がうっすらと浮かんで、止まる。
カラオケに行ったときは、知っている人が歌っていたからか普通に楽しんでいたな、と思い返して。
大本の音楽には無頓着なのだと思い知った。
情操教育が失敗している。

「……ザリガニ釣りが好き、っていうのも、
本当は狩猟本能のままに好きなだけであって」

「昔の名残で好きなんじゃなくて、
そういう本性を持ったから好きなままであるだけで」

「……本能のままに毒されたそれを好きなのは。
本当に、好きだって言えるのか?」
揺らいでいく。自分という輪郭が。
分からなくなる。生きている自分が。
加虐欲をどうにかする術がもしも、推測通りだったならば。
以前ほど殺さなくて済むようになったのも、目星をつけた『信仰』によるものだとして。
その信仰の結果、自身の定義と存在が揺らいでいるのならば。
いなくなってから一か月がたった。
つまり、自分の誕生日が過ぎて一か月がたった、ということでもある。
生きやすくなるためには。
感情を殺して、痛みを麻痺させて、諦観するのが一番楽だ。
あぁ、そうか。
そもそもの話。
最初から、そんなもの不明瞭だったのかもしれない。