RECORD
Eno.29 兎足守 万寿麿の記録
独白:MT-860
*デェェェェェン………*
『起動シークエンス完了
MT-860………アウェイク
【命令:ペットロボ】の遂行を開始します』
「………よし 起動は問題無さそうだ
各種データチェック………異常値はないか?」
「………チェック完了 すべて規定値です
人工知能AIプロトコル……正常に機能しています」
「素晴らしい!
…ではこれより、駆動と反応テストを開始
各員、準備を始めてくれ」
「「「了解!!」」」
―――オイラの名前は【MT-860】。
メカ・テイミット…ナンバー、エイトシックスゼロ。
通称『ハチロクマル』。
でもみんな、この白くて四角いボディにつられて
『メカとうふ』なんてあだ名を付けてきたんだ。
オイラはとうふじゃないのにさ? ひどいもんだよ、まったく。
でも………みんなオイラの事を大切に扱ってくれる。
そう、まるで本物の家族のように………
だから『メカとうふ』でもいいやと思ったんだ。
オイラも、みんなが大好きだからさ。
それにこのボディも案外捨てたもんじゃないんだぜ?
ぬいぐるみ型と違って、オイラのボディにはストレージが付いてるんだ。
そう、この四角が箱のように開くのさ。
保温と保冷も出来る高機能。 なんだってこんなもんを付けたんだよ。
おかしいぜ。 でも………そんなみんなが大好きさ。
オイラのテスト運用は………最初こそ順調だった。
でも次第に雲行きが怪しくなってきちまった。
オイラのAIデータに解析困難なノイズが混じり始めたんだ。
何度かロールバックも試してみたけど、上手くいかない。
ついには…ノイズまみれになって、
データとして使い物にならなくなった。
実用化に向けたテストは中断。
オイラは………『不良品』として処分される事になった。
………おいおい、なんだよみんなして泣いちゃってさ。
オイラはただの試作品だぜ? ちゃんと作り直せばいいじゃないか。
いくらペット用だからってさ。 ロボットだろ? しっかりしてくれよ。
………なんだよ。 分かってるよ。 本当はオイラだってイヤだよ。
みんなとさよならなんてしたくない。 いなくなりたくない。
でもそれはオイラの………みんなのワガママだろ。
これ以上みんなを困らせたくない、悲しませたくない。
だからオイラは………研究所から逃げ出したのさ。
………いったい、どのくらい走ったんだろうな。
もう、充電も予備バッテリーも残りわずかだ。
駆動パーツが軋む。 どこか壊れちまったかもな。
…ああ、もう動けないぜ。 ごめんよ、みんな。
オイラはもう―――
―――
―――? 充電プラグが…コンセントに繋がっている?
カメラが起動した。 さっそく周りを見てみれば………
ここは…どこかの家の中だ。
そうか、オイラは誰かに拾われたのか。
オイラのボディには製造社名とシリアルナンバーが刻まれてる。
誰かがそこに電話をかけて確認しているようだ。
………ああ、オイラの鬼ごっこも、これまでか。
試作品…企業機密の塊なんだ。 即時回収と廃棄は免れないだろう。
…ごめんよ、みんな。 最後まで迷惑ばっかりかけてさ。
だからもう………一思いに、やってくれ!
………なんだって?
オイラが…これからこの家の物になるって?
おいおい、冗談だろう? なんでそんな事になってるんだよ。
なんでみんな頭を下げて頼み込んでるんだよ。
悪いのは………悪いのはオイラなのに!
………本当に、いいのか?
………いい、のかな………


………それから、3年。
オイラとマシュは、もうすっかり相棒さ。
『起動シークエンス完了
MT-860………アウェイク
【命令:ペットロボ】の遂行を開始します』
「………よし 起動は問題無さそうだ
各種データチェック………異常値はないか?」
「………チェック完了 すべて規定値です
人工知能AIプロトコル……正常に機能しています」
「素晴らしい!
…ではこれより、駆動と反応テストを開始
各員、準備を始めてくれ」
「「「了解!!」」」
―――オイラの名前は【MT-860】。
メカ・テイミット…ナンバー、エイトシックスゼロ。
通称『ハチロクマル』。
でもみんな、この白くて四角いボディにつられて
『メカとうふ』なんてあだ名を付けてきたんだ。
オイラはとうふじゃないのにさ? ひどいもんだよ、まったく。
でも………みんなオイラの事を大切に扱ってくれる。
そう、まるで本物の家族のように………
だから『メカとうふ』でもいいやと思ったんだ。
オイラも、みんなが大好きだからさ。
それにこのボディも案外捨てたもんじゃないんだぜ?
ぬいぐるみ型と違って、オイラのボディにはストレージが付いてるんだ。
そう、この四角が箱のように開くのさ。
保温と保冷も出来る高機能。 なんだってこんなもんを付けたんだよ。
おかしいぜ。 でも………そんなみんなが大好きさ。
オイラのテスト運用は………最初こそ順調だった。
でも次第に雲行きが怪しくなってきちまった。
オイラのAIデータに解析困難なノイズが混じり始めたんだ。
何度かロールバックも試してみたけど、上手くいかない。
ついには…ノイズまみれになって、
データとして使い物にならなくなった。
実用化に向けたテストは中断。
オイラは………『不良品』として処分される事になった。
………おいおい、なんだよみんなして泣いちゃってさ。
オイラはただの試作品だぜ? ちゃんと作り直せばいいじゃないか。
いくらペット用だからってさ。 ロボットだろ? しっかりしてくれよ。
………なんだよ。 分かってるよ。 本当はオイラだってイヤだよ。
みんなとさよならなんてしたくない。 いなくなりたくない。
でもそれはオイラの………みんなのワガママだろ。
これ以上みんなを困らせたくない、悲しませたくない。
だからオイラは………研究所から逃げ出したのさ。
………いったい、どのくらい走ったんだろうな。
もう、充電も予備バッテリーも残りわずかだ。
駆動パーツが軋む。 どこか壊れちまったかもな。
…ああ、もう動けないぜ。 ごめんよ、みんな。
オイラはもう―――
―――
―――? 充電プラグが…コンセントに繋がっている?
カメラが起動した。 さっそく周りを見てみれば………
ここは…どこかの家の中だ。
そうか、オイラは誰かに拾われたのか。
オイラのボディには製造社名とシリアルナンバーが刻まれてる。
誰かがそこに電話をかけて確認しているようだ。
………ああ、オイラの鬼ごっこも、これまでか。
試作品…企業機密の塊なんだ。 即時回収と廃棄は免れないだろう。
…ごめんよ、みんな。 最後まで迷惑ばっかりかけてさ。
だからもう………一思いに、やってくれ!
………なんだって?
オイラが…これからこの家の物になるって?
おいおい、冗談だろう? なんでそんな事になってるんだよ。
なんでみんな頭を下げて頼み込んでるんだよ。
悪いのは………悪いのはオイラなのに!
………本当に、いいのか?
………いい、のかな………

「これからよろしくね、はっちゃん!」

『 … … … 』
………それから、3年。
オイラとマシュは、もうすっかり相棒さ。