RECORD
Eno.340 月待 よすがの記録
無題
家に帰って靴を脱ぐ。鞄の中に突っ込んだ応援用の衣装を洗濯機に入れて、靴やバイザー、アクセ類は消臭スプレーをかけて箱にしまった。
洗濯を待つ間に自分も風呂に入ってしまって、その日の痕跡を全て消してしまう。
体育祭に登録したのは、自分に成り代わっていた怪奇―― autoscopyが勝手にやったことだった。
選手登録が済んでいたのであればせっかくなら勝ちたい。それくらいの熱量。
応援が沢山出来れば士気が上がると言う。
ちゃんと個人を応援した方が気持ちが籠ると言う。
だから同じ組分けされた人たちが集まっている場所にはよく顔を出した。応援練習も少しした。
みんな名札をつけていたのでとても息がしやすかった。
ご褒美をくれるというので競技も出た。
リレーではなんか良い成績が出たらしい。
皆のおかげなんて言って、本当にただ、自分がバトンパスに迷わないよう設計しただけ。
みんなが勝ちたいと言っていたので、自分も一生懸命風に声をかけた。
リレーの選手を募ったり、労ったり、発破をかけたり。本当にそれだけ。
スコアが発表された時、みんなが喜んでいるのが伝わった。
みんなの顔なんかひとつも覚えてなくても、あーあの子頑張ってたよなとか、あの人はいっぱい応援してたなとか。
その皆が喜んでいる時、ちょっとだけ泣きそうになった。
なんか、
本当にちょっとだけ、
頑張って良かったな なんて思った。
自分が頑張らなくても結果は同じだったかもしれないのに、そう思った。



とはいえ死ぬほど疲れた。あんなに高い声を一日中出したのは久しぶりだ。もう体育祭は二度とやらん。
洗濯を待つ間に自分も風呂に入ってしまって、その日の痕跡を全て消してしまう。
体育祭に登録したのは、自分に成り代わっていた怪奇―― autoscopyが勝手にやったことだった。
選手登録が済んでいたのであればせっかくなら勝ちたい。それくらいの熱量。
応援が沢山出来れば士気が上がると言う。
ちゃんと個人を応援した方が気持ちが籠ると言う。
だから同じ組分けされた人たちが集まっている場所にはよく顔を出した。応援練習も少しした。
みんな名札をつけていたのでとても息がしやすかった。
ご褒美をくれるというので競技も出た。
リレーではなんか良い成績が出たらしい。
皆のおかげなんて言って、本当にただ、自分がバトンパスに迷わないよう設計しただけ。
みんなが勝ちたいと言っていたので、自分も一生懸命風に声をかけた。
リレーの選手を募ったり、労ったり、発破をかけたり。本当にそれだけ。
スコアが発表された時、みんなが喜んでいるのが伝わった。
みんなの顔なんかひとつも覚えてなくても、あーあの子頑張ってたよなとか、あの人はいっぱい応援してたなとか。
その皆が喜んでいる時、ちょっとだけ泣きそうになった。
なんか、
本当にちょっとだけ、
頑張って良かったな なんて思った。
自分が頑張らなくても結果は同じだったかもしれないのに、そう思った。

「…………」
「autoscopyも、出たかったのかな」

「……僕が、奪った形になるのかな」
「……だとしたら、……」

「…………。……」
とはいえ死ぬほど疲れた。あんなに高い声を一日中出したのは久しぶりだ。もう体育祭は二度とやらん。