RECORD

Eno.22 雲隠 運太郎の記録

◯腹柄節

 

「音はこの辺から……」





「え、何こいつ」



 手のひらサイズの小さな車輪のような、しかし目玉のある何かが地面で震えている。


「お前、泣いてるのか?」



 返事のように小さな空気が抜けるような音がした。

 基本的にここに侵入した怪異は"駆除"しなければならない。
 この小さな生き物は絶対に怪異。

 しかし、

(何故だか、駆除する気になれない……)


 こんな生き物、会ったことも見たこともないはずなのに、
 なぜだか懐かしい気配がした。


 コロコロと転がりながら泣いてるそれ。

「安全なところ、連れてってやるよ。
 おいで、コロ」


*フォン*


「コロ、お前の名前」



 言葉はない。
 けどなんとなく喜んでいるようで。
 

「泣いてるってことは怪我してるのかな……
 トアに見せたら治療してくれるかな」


 コロを手で掬い上げようと手を伸ばした。

 触れる。冷たい金属の感触。

「よーし!
 いい子だ!」










 その時だった、俺の脳裏で何かが弾けた。