RECORD

Eno.1461 篠崎 駿の記録

キミノオモイデニサヨウナラ

あの日、僕は大切な人を失った。『如月 優』僕の大切な人だった。

彼女と初めて会ったのは高一の頃だった。僕が公園のベンチでギターの練習をしてた時に彼女は曇りのない笑顔を近づいて来た。

最初は鬱陶しいと思ってた。また、友達を失うのが怖くて他人を拒絶するのが一番楽だったから、でも、彼女は僕の拒絶なんて気にもとめず俺に話しかけてきた。

あんなに自分から話かけて来る人は初めてだったからすごく驚いた。そこから、彼女に惚れていった。

彼女は僕に可哀想の枠に入れずに話してくれるのが好きだった。僕の事を可哀想とか思わず対等な立場で話してくれるそんな彼女が僕にとって彼女は正に暗い心を照らしてくれた光そのものだった。

彼女と交流を深め一年が経った。8月13日、その日は僕の誕生日だった。彼女は誕生日プレゼントとして、お守りを渡してくれた。紫陽花の柄が入ったお守り、そのお守りは綺麗で何より彼女から贈り物を貰ったのがとても嬉しかった。

彼女は今日、お祭りがあるから行こうと言った。僕は了承して彼女をバイクに乗せて、祭りの会場に向かった。

でも、そんな幸せも長くは続かなかった。会場に向かう交差点で僕達は事故にあった。

どうやら信号無視したトラックが僕達と衝突したらしい、地面に叩きつけられて意識が朦朧とする中彼女の姿が見えた。

血まみれで地面に倒れる彼女の姿が、僕は急いで彼女に駆け寄ろうとした。けど、立てない、足が折れて立とうとすると足から激痛が来てまともに動けなかった。

何とか、彼女の方へ行く為に僕は這いずりながら彼女の方へと行った。額からだらだらと血が流れてアスファルトに零れ、足の激痛に耐えながらも何とか彼女の手を掴もうと手を伸ばし続けた。

あと少しで手が届く、そんな距離まで近づけた。けど、突然意識がふっと消えた。あと少し、あとほんの僅かの所で僕の手は届かなった。

気が付くと、僕は暗い空間の中にいた。何も感じない、何も聞こえない、虚無だけが広がっていた。

僕は死んだのか、そう思っていると後ろから呼ぶ声が聞こえた。

優だった、彼女は僕を方を見て安心した様な顔をした後に直ぐに悲しそうな表情をした。

僕が彼女に触れようとすると彼女の体をすり抜けた。

彼女は僕の頬に手を置いた。冷たくて、温かさの無い手、僕はその手を握ろうとした。

けど、やっぱりすり抜ける、彼女の手の感覚は分かるのに触れられない、それがたまらなく悔しかった。

彼女は泣きそうな僕の顔を見ながら優しく囁いた。

「私、そろそろ行かなくちゃ行けない…駿は私の代わりに出来るだけ長く…おじいちゃんになるまで生きて」と言った。僕は彼女の言葉を聞いて叫んだ。

「嫌だ!僕は君がいなきゃいけない!君がいなきゃ生きていけない!」

彼女は、そんな僕の叫びを聞いて、悲しそうな表情を一瞬見せたあといつもの温かくて明るい笑顔を見せて言った。

「大丈夫、私はあなたのそばにいる、私の想いがあなたを守るから…」

彼女はそう言い残して、消えると彼女から出た光が僕の中に入って来た。

優しくて、温かいそんな光だった。

その後、僕は目が覚め、彼女の病室へ向かった。

彼女の病室を扉を開けた。病室に中は暗い雰囲気も立ち中にいた医師が僕の方を見た。

医師は僕の方を向いて、俯きながら言った。

「彼女は息を引き取った」

やっぱりそうかと思うと同時に信じられなかった。

彼女が死んだ?なんで僕じゃなくて彼女が?

そんな考えが頭の中で回るなか僕は病院を飛び出した。

雨の中ひたすら泣きながら折れていたはずの足で走った。

彼女との数少ない思い出が頭をよぎりながらひたすらに走り転んだ。

アスファルトに横たわりながら空を見上げた。暗く雨がひたすらに降り続ける雨、僕は空をひたすらに眺めた。