RECORD

Eno.160 琉華院 いのりの記録

再会

「うーん…… ここどこ~?」


いつもと同じようでどこか違う街。
空はいつもの青じゃなくて紫紺に染まっている。
ここはどこなのか。どうして迷い込んでしまったのか。全くわからない。


「───…………」


どこからか声が聞こえる。

「…………?」


とても小さい声。
けれど、誰かに呼ばれているような気がした。


「───…………」


声の方向へフラフラと歩いていく。
声が近づくたび、その声に聞き覚えがあるような気がした。
















「………………。」


気づけば、湖の辺にいた。
水の中で、何かがヒラヒラと揺らめいた。


「……………………。」



「…………!」

「…………久しぶり。『あの時』以来だね。」

「あの時から随分とおっきくなったね。……ねぇ、覚えてるかな。いのり。」


「…………!!」

「うんっ!覚えてるよ。あの時のことは、今でもハッキリと。でも、どうしてここにいるの?」

「……それはこっちの台詞だよ。君こそどうしてこんなところに迷い込んだの?」

「わ、わかんない……。でもこんなところにいて大丈夫?外とかすっごい怖いことになってるけど……。」

「僕は…… 平気。他の皆より力はないけど、ここで生きていける程度には丈夫だよ。」

「で、でもでも!危ないよ!こんなところ!」

「……そうだっ、あたしの部屋に住むってのはどうかな?皆には金魚のペットってことにして…………」



「………………。」

「いのりのペット、かぁ。確かにそれも、悪くない…… かも。」

「でしょでしょっ!名案でしょ!うんっ!それじゃ、さっそく帰ろ!」

「…………大丈夫?帰り道、わかる?」

「…………教えて欲しいかも……。」













パキン。

帰り道、足に小さな音と痛みと違和感を感じた。

「…………?」





足首を見てみると、そこには朱色の鱗。

「これ、なんだろ……?」