RECORD

Eno.340 月待 よすがの記録

人魚

人魚、セイレーン、メロウ、セルキー。
海の中で生きる美しい怪物には様々な名前がついている。
海洋生物がそう間違えられた時もあれば、鳥の姿の人が後世では人魚として言い伝えられていることもある。
中でもメロウと呼ばれるものは、半人半魚でありながら、人と交流を持つと言われている。
それ故人間と交わることも出来るが彼女らには帰巣本能がある……というのが言い伝え。

人魚の歌声は、船乗りたちの船が嵐のせいで軋む音をそう捉えたものらしい。
それ故に彼女らの唄は海に引きずり込むもの。それが具現化されたもの。
人間の生きられない海の中に神秘を見出すケースは多いのだろう。


僕だってその一人だ。青く長いその髪に目を奪われて、貴女を呼ぶ。

遠くからでも見つけられる姿。 例え顔なんか分からなくても。
僕の欲しいものをくれるところ。 言えば応えてくれるのは、わかりやすい。
触れると分かる、君の熱。 お互い不感症なんだから。

それらは月待よすがが、神秘に求めているものすべてだったから。
だからね、僕はきっと君の神秘に恋していた。
すべてを捨てて、君になら海に引きずり込まれても良いと思ってしまったんだ。

誰も彼も無責任だなんて言うでしょう?
愛する人がいるのに、とか。
大切に思ってもらっているのに、とか。
せっかく生んでもらったのに、とか。

…………反吐が出る。

神秘を追いかけて、触れて、そうして生きていくことが強迫観念だとしたら。
それを失ったあとはただ、無能な自分が残ってしまうらしい。

色々少しずつ頑張ってみても、結局自分はなにかに依存していないと生きていられないみたい。

「だからさ 代わりに・・・・僕のこと、もっと好きになってよ。
 分かんなくて良いから、僕に代わりに・・・・愛させて」


君なら、君だけは分かってくれるよね。
それは虚しい行為でもなんでもなくて




あぁ、僕は






だれかに必要とされたかったんだって。



みこまちゃん。
人の生きられない海の底 手を伸ばす気持ちが分かったきがする。
だって地上で息苦しく生きるくらいなら、最後にきれいな海が見たいもの。














あぁでも、もし君が"本物"をみつけた時には

僕も 諦めなきゃいけないのかなあ。