RECORD

Eno.175 水元イチノの記録

風化するキメラ

 余命宣告を聞いてショックを受けない人はいないと思うけど、それでも私と君は強がって気にしないふりをしていたよね。
 死ぬことは死んだ後に考えればいいなんて冗談言って、たような気がする。
 会う人会う人気が滅入るような顔をしていたと思うし、そんな顔を見たくなくてしばらく引きこもったっけな。

 私がいくら強がって見せたって、メンタルの強い人なんているわけなくて、折れた心を接いで剥いでどうにかそれらしく見せているだけ。

 これはそんないつか忘れる記憶の話。
 縫い目があることすら忘れてしまえば、思い出せなくて苦しむこともなくなる。