RECORD
Eno.2754 八月一日 裕一の記録
きっかけ
神秘と裏世界を知ったのは最近のことだ。
夜に蝉が鳴く暑さ。放課後まで勉強していた俺は、少し遅く帰ることになった。
暗くて、少し青と橙色が混じったコンクリートの下り坂を歩いていた。
遠くからしゃがれた烏の声が聞こえる。周りは誰もいない。
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低い声が後ろから聞こえた。お爺さんではない。一般の男性の…しかし、どこか歪んでいるようにも聞こえた。
此処は比較的小さな市だがこんな声は聞いたことがなかった。
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_学校である噂を聞いたことがあった。
聞いたことのない声が聞こえたら、それは『てまねきさま』の声だ。
後ろを振り返ってはいけない。
もしも見てしまったら___
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連れ去られてしまう。
逃げなくては。
俺は怖くて走った。ひたすら走った。
それでも声は聞こえる。
ついてきているのか、はたまた道がループしているのかはわからない。
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自然と口から息を吐き出す。
涙が滲み出る。
怖いのは大嫌いなんだよ。
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バケモンが近づいてくる、声でわかる。
もう背中付近までいる。嫌だ。
恐怖の余り目を閉じる。
嗚咽を飲み込んだ喉は痛くて声が出ない。
頭の中で助けを求める。
誰か、誰か!
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それと同時に風を斬るような音が聞こえた。
突如バケモンはうめき声を上げ、徐々に声が遠のいていった。
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目を開けて、恐る恐る後ろを向いた。
そこには緑髪の青年が立っていた。
青年は俺のことを上から下までじろじろと見ていた。

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何もできなかった、ただ蹲っていた自分に少し恥ずかしさを覚える。

『てまねきさま』、謎の青年、そして裏世界という言葉。
心の恐怖からの支配が解き放たれていくと、彼が何を言っているのか疑問に思った。
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青年は首を捻った。

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これが裏世界の知ったきっかけであり、師匠である荻野さんに出会った話だ_
夜に蝉が鳴く暑さ。放課後まで勉強していた俺は、少し遅く帰ることになった。
暗くて、少し青と橙色が混じったコンクリートの下り坂を歩いていた。
遠くからしゃがれた烏の声が聞こえる。周りは誰もいない。
「お҈̵う̶̴い҉҉。」
低い声が後ろから聞こえた。お爺さんではない。一般の男性の…しかし、どこか歪んでいるようにも聞こえた。
此処は比較的小さな市だがこんな声は聞いたことがなかった。
「おぅい。」
_学校である噂を聞いたことがあった。
聞いたことのない声が聞こえたら、それは『てまねきさま』の声だ。
後ろを振り返ってはいけない。
もしも見てしまったら___
「おぅい。」
連れ去られてしまう。
逃げなくては。
俺は怖くて走った。ひたすら走った。
それでも声は聞こえる。
ついてきているのか、はたまた道がループしているのかはわからない。
「おぅい。」
自然と口から息を吐き出す。
涙が滲み出る。
怖いのは大嫌いなんだよ。
「おぅい。」
バケモンが近づいてくる、声でわかる。
もう背中付近までいる。嫌だ。
恐怖の余り目を閉じる。
嗚咽を飲み込んだ喉は痛くて声が出ない。
頭の中で助けを求める。
誰か、誰か!
「よくぞ、ここまで耐えましたね。」
それと同時に風を斬るような音が聞こえた。
突如バケモンはうめき声を上げ、徐々に声が遠のいていった。
「もう大丈夫ですよ。」
目を開けて、恐る恐る後ろを向いた。
そこには緑髪の青年が立っていた。
青年は俺のことを上から下までじろじろと見ていた。

「なるほど、学生ですか。だとすればあの坂の上にある校門から裏世界に迷い込んでしまったのですね。」
「すみません。助かりました。」
何もできなかった、ただ蹲っていた自分に少し恥ずかしさを覚える。

「いえいえ。あの追いかけていた様子を見るに_振り返らずに走り続けていたのですね。貴方の選択は正しい。」
『てまねきさま』、謎の青年、そして裏世界という言葉。
心の恐怖からの支配が解き放たれていくと、彼が何を言っているのか疑問に思った。
<rt>「あの。色々と聞きたいことがあるんですが、その、此処は?」

「うーん…説明が長くなってしまいますね。」
青年は首を捻った。

「まずは安全な所まで案内しますよ。此処はさっきみたいな化物が出る場所なんでね。」
「ありがとうございます。貴方は_」

「荻野と言います。まぁ、しがない都市伝説マニアですよ。」
これが裏世界の知ったきっかけであり、師匠である荻野さんに出会った話だ_