RECORD

Eno.350 竜胆 棗の記録

約束

古い記憶、もう何年前になるのだろうか
師匠とあの月の下で交わした約束は。

「俺は、連れて行ってくれないのか……?」

表情なんてもう覚えていないけど、きっとその時は少し悲しそうな顔をしていたんだろう。

「んー、そうだね。
二人で沢山死線は潜り抜けてきたけれど……今回はそれ以上だから。
今の君では話にならないだろうね。」

「そうか、じゃあ……アンタが帰ってくるまでにウンと強くなっといてやるよ。」

「なら、私がもし帰って来なかったら、君に探しに来てもらおうかな。
君が君自身も君の大事な人も皆守れるくらいに強くなったら、私を見つけて、私の代わりに依頼を遂行してください。」

その時から、予見していたんだろうかシショーは自分が死ぬことを、だからこんな約束をしたのかな。

「あぁ、約束するよ。
もしアンタが帰ってこなかったらそん時は俺がアンタを探しに行ってやる。」

その時はそれをただの冗談か何かだと思っていた、自分のシショーが死ぬなんて思ってもいなかったし、軽い雑談程度に思っていた。
けど、その約束は現実になった。

シショーの姿は何処にもなくて、シショーの遺品だけが俺の手元に帰ってきた。

そして今、俺は自分自身を守る力も無くて、大事な物も守れずにまだ中途半端なままだった。

「ああ、全く……気軽に約束なんてするものじゃないな……」