RECORD
Eno.1461 篠崎 駿の記録
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陽介が北摩市へ向かう電車に乗り込んだ後、私と彰はフードコートの喧騒の中で一瞬静かになった。
陽介の背中がガラス扉の向こうに消えると、我がは飲み物のストローを軽く弄びながら呟いた。
「陽介、ちゃんと駿君に渡してくれるかな?」
彰はトレンチコートのポケットに手を突っ込み、軽く笑った。
「あいつ、二十歳になっても調子こいてるけど、こういう大事なことには真面目だからね。大丈夫でしょ」
私はうなずき、紙ナプキンを畳みながら空を見上げた。
少し重い空気の中、彰が静かに切り出した。
「そろそろ優の墓参り、行かない?陽介が駿に会いに行ったって。ちゃんと優に報告しないと」
私は一瞬目を上げ、すぐに柔らかく微笑んだ。
「うん、行こう。優、きっと待ってるよね」
私達はフードコートを後にし、ショッピングモールを抜けて町外れの墓地へ向かった。優の墓は、昔、みんなで夏休みの宿題をサボって遊びに行った丘の上にある小さな墓地にある。優はあの場所で「空が広くて気持ちいいよね」と笑っていた。
秋の風がそよぐ中、私達は墓地への坂道を登っていた。私は商店街にある花屋で買った紫陽花に似た色の小さな花束を抱え、彰はいつものトレンチコートを羽織っている。
「ねえ、彰」
ふと足を止め、口を開いた。
「優のこと、ちゃんと覚えてる? 高一の夏、優が陽介の誕生日パーティーで『来年も絶対みんなで祝おう!』って騒いでたこととか」
彰は苦笑しながらポケットからスマホを取り出した。
画面には、四年前の陽介の誕生日パーティーで撮った写真が映っていた。
みんなでバカ騒ぎしたあの楽しい変わらない思い出──そこにはそれがあった。
「忘れるわけないよ。この写真、見るたび、あの時の事がすぐに思い出せるよ…」
彰はスマホをしまい、静かに続ける。
「事件の事とか…『あの世界』のこと追いかけてると、つい優のことを考える時間が減っちゃうけど…二十歳になった今でも、ちゃんと向き合えてない気がする」
私はうなずき、手に持っていた花束をぎゅっと握った。
「わかる。私も、色々な資料集めで頭いっぱいになると、優の声が遠く感じる時がある…」
二人は墓地にたどり着き、優の墓の前に立った。小さな墓石には「永遠に笑顔で」と刻まれている。
陽介が「優らしいだろ」と涙声で提案した言葉だ。私は花束を置き、そっと手を合わせた。彰も隣で静かに目を閉じる。
「優ちゃん、元気?」小さく囁く。
「私たち、二十歳になっちゃったよ。陽介は相変わらずうるさいけど、なんか頼もしくなってきたし。彰は…ほら、探偵気取りでカッコつけてるよ。駿君も…優ちゃんのお守り、ちゃんと持ってるよ」
「一言多い」と彰が笑いながら突っ込み、続ける。
「優、僕も君の事は絶対に忘れないよ…」
その瞬間、風がふわりと吹き、墓地の木々が軽く揺れた。まるで優が笑っているようだった。二人は顔を見合わせ、くすっと笑った。
墓参りを終え、丘を下りながら、私は彰に聞いた。
「陽介、駿君にちゃんと会えるかな?二人でバカ騒ぎしてないかな」
彰はニヤリと笑った。「ああ、陽介なら駿のガチガチの殻もぶち破るだろ。ほら、あいつがどっか居なくなる前も陽介が駿を引っ張り回して、優がゲラゲラ笑ってたじゃん」
「ふふっ、そうだね。陽介ならきっと…なんとかしてくれるよね」
二人は高校時代の思い出話で盛り上がりながら、町へと戻っていく。陽介が駿にプレゼントを渡す頃、二人はあの日の事を胸に刻み、未知なる世界へと向き合う決意を新たにしていた。
陽介の背中がガラス扉の向こうに消えると、我がは飲み物のストローを軽く弄びながら呟いた。
「陽介、ちゃんと駿君に渡してくれるかな?」
彰はトレンチコートのポケットに手を突っ込み、軽く笑った。
「あいつ、二十歳になっても調子こいてるけど、こういう大事なことには真面目だからね。大丈夫でしょ」
私はうなずき、紙ナプキンを畳みながら空を見上げた。
少し重い空気の中、彰が静かに切り出した。
「そろそろ優の墓参り、行かない?陽介が駿に会いに行ったって。ちゃんと優に報告しないと」
私は一瞬目を上げ、すぐに柔らかく微笑んだ。
「うん、行こう。優、きっと待ってるよね」
私達はフードコートを後にし、ショッピングモールを抜けて町外れの墓地へ向かった。優の墓は、昔、みんなで夏休みの宿題をサボって遊びに行った丘の上にある小さな墓地にある。優はあの場所で「空が広くて気持ちいいよね」と笑っていた。
秋の風がそよぐ中、私達は墓地への坂道を登っていた。私は商店街にある花屋で買った紫陽花に似た色の小さな花束を抱え、彰はいつものトレンチコートを羽織っている。
「ねえ、彰」
ふと足を止め、口を開いた。
「優のこと、ちゃんと覚えてる? 高一の夏、優が陽介の誕生日パーティーで『来年も絶対みんなで祝おう!』って騒いでたこととか」
彰は苦笑しながらポケットからスマホを取り出した。
画面には、四年前の陽介の誕生日パーティーで撮った写真が映っていた。
みんなでバカ騒ぎしたあの楽しい変わらない思い出──そこにはそれがあった。
「忘れるわけないよ。この写真、見るたび、あの時の事がすぐに思い出せるよ…」
彰はスマホをしまい、静かに続ける。
「事件の事とか…『あの世界』のこと追いかけてると、つい優のことを考える時間が減っちゃうけど…二十歳になった今でも、ちゃんと向き合えてない気がする」
私はうなずき、手に持っていた花束をぎゅっと握った。
「わかる。私も、色々な資料集めで頭いっぱいになると、優の声が遠く感じる時がある…」
二人は墓地にたどり着き、優の墓の前に立った。小さな墓石には「永遠に笑顔で」と刻まれている。
陽介が「優らしいだろ」と涙声で提案した言葉だ。私は花束を置き、そっと手を合わせた。彰も隣で静かに目を閉じる。
「優ちゃん、元気?」小さく囁く。
「私たち、二十歳になっちゃったよ。陽介は相変わらずうるさいけど、なんか頼もしくなってきたし。彰は…ほら、探偵気取りでカッコつけてるよ。駿君も…優ちゃんのお守り、ちゃんと持ってるよ」
「一言多い」と彰が笑いながら突っ込み、続ける。
「優、僕も君の事は絶対に忘れないよ…」
その瞬間、風がふわりと吹き、墓地の木々が軽く揺れた。まるで優が笑っているようだった。二人は顔を見合わせ、くすっと笑った。
墓参りを終え、丘を下りながら、私は彰に聞いた。
「陽介、駿君にちゃんと会えるかな?二人でバカ騒ぎしてないかな」
彰はニヤリと笑った。「ああ、陽介なら駿のガチガチの殻もぶち破るだろ。ほら、あいつがどっか居なくなる前も陽介が駿を引っ張り回して、優がゲラゲラ笑ってたじゃん」
「ふふっ、そうだね。陽介ならきっと…なんとかしてくれるよね」
二人は高校時代の思い出話で盛り上がりながら、町へと戻っていく。陽介が駿にプレゼントを渡す頃、二人はあの日の事を胸に刻み、未知なる世界へと向き合う決意を新たにしていた。