RECORD

Eno.7 瀬波 りり子の記録

やること / やりたいこと

 
[いつか / 裏世界 どこか]
 
 
「……ええ、資産は私の持っているものをいくつか、そちら経由で換金していただいて……
 はい、それを元手に特殊でない方法で住処を得る予定です」
「家具も通常の手段で新生活らしく買い揃えます。
 特別に持ち込む必要のあるものはきちんと隠しますし、家からも出しません。
 それなら問題はないのですよね?」
「……ああ、はい。では、そのように。
 では、早速指定の場所に宝石類などを持ち込みますので、確認していただければと」


――と、いう流れを経て、当機は家を得ることができました。
大きめのきちんとしたマンション、部屋が一つだけではないやつ。
背伸びをして一軒家を得るなんていうのも考えましたが、もし結婚相手の家に転がり込むなんてことがあり得るなら、
そのときに邪魔になるものは持ちたくありません。
引っ越しトラックが多くても2台分に収まるような、贅沢だとしても一人暮らしらしい暮らしに収める。
それが今回の住処のコンセプトです。
まずは何より大事なベッド選びですが……おっと。
この記録は、そういうことを残すためにつけている記録ではありませんでしたね。
あの日も話したことです。この記録をつけている理由、そして……

「この世界、この街に来た理由……ですか?」
「決まっているではありませんか」
「……教育を受けるため、ですよ。そういう街なのでしょう? 北摩テクノポリスは」

教わる、そして教えるには、自分の中だけで完結させない必要があります。
こうして誰かに渡せる形で記録をつけることこそが、教育の始まり、というわけです。

当機は。私は。本気で国を興そうとしています。
国を興したら何が必要か。土地が、王が、民が必要。
そういった物理的なものの次に何が必要か……
考えるまでもなく、教育が最も重要です。

では、民に物を教えるには何が必要か。
もちろん、教える側の教養、知識、経験です。
それを得るには……教わるのが最も効率がいい。
そうして、人間は技術力を高め、発展してきたのですから。

その技術の結晶であるアンドロイドの当機も、腰を低く頭を下げながら学ぶ。
それができもしないのに、女王を名乗ることはできません。
当機が目指す国は、誰もが幸せに暮らし続けられる国。
実現のため、時間をかけてでも、完璧に学んでみせることとしましょう。



ところで――
せっかく高校生をやるのなら、一つ夢があります。やりたいこと、というか。
学生生活といえば、という代表的なやつを。


恋、してみたくないですか?