RECORD
Eno.232 月影誠の記録
10/30
偶然とは不思議なもので、立て続けに関連するような出来事が起こるもの。
昨日、アヤメが『強くなるために付き合ってもいい』と申し出てくれた。
俺にとって、強くなるということは本能が強くなるということ。
それを望んでいるかと問われると、否だ。
されど、強さに執着こそしていないが求めていないとも言えず。
その理由を考えて、大切なことを思い出した。
俺が強くなりたかったのは、狩るためじゃない。
クロと一緒に居たかったから。
だから、俺にとって強さとは一人で完結するものではない。
クロとの縁であり、二人揃っていなければ意味がない。
俺も、クロも。どちらも強みは、コンビネーション。
狼は群れで狩りをする生き物だ。一匹一匹の能力よりも、連携が重要になる。
それは、俺達も例外ではない。
ずっと考えていた、祈りのヒントだった。
俺にとってクロは何であるか。その上で、神とは何か。神に何を求めるのか。
漠然としていた輪郭が、かなり明瞭になった気がした。
その次の日。今日のこと。
カサネが実家で保護しているという子供を連れてきていた。
純粋で疑うことを知らない、キラキラした瞳をしていた。
年齢は8歳だという。
ザリガニを見てはしゃぎ、何にでも好奇心旺盛。
学校も、カサネが楽しそうにしているから興味が沸いて見に来たのだと言っていた。
そして、カサネのことを。
兄として、慕っていて。
俺のことも、兄と呼んた。
かなり広い枠組みを兄と呼んでいるようだったけれど。
俺にとって、兄という存在は。







酷い話だろう?
嘘付なくせに、人からの嘘を恐れているのだから。
救えないな。
昨日、アヤメが『強くなるために付き合ってもいい』と申し出てくれた。
俺にとって、強くなるということは本能が強くなるということ。
それを望んでいるかと問われると、否だ。
されど、強さに執着こそしていないが求めていないとも言えず。
その理由を考えて、大切なことを思い出した。
俺が強くなりたかったのは、狩るためじゃない。
クロと一緒に居たかったから。
だから、俺にとって強さとは一人で完結するものではない。
クロとの縁であり、二人揃っていなければ意味がない。
俺も、クロも。どちらも強みは、コンビネーション。
狼は群れで狩りをする生き物だ。一匹一匹の能力よりも、連携が重要になる。
それは、俺達も例外ではない。
ずっと考えていた、祈りのヒントだった。
俺にとってクロは何であるか。その上で、神とは何か。神に何を求めるのか。
漠然としていた輪郭が、かなり明瞭になった気がした。
その次の日。今日のこと。
カサネが実家で保護しているという子供を連れてきていた。
純粋で疑うことを知らない、キラキラした瞳をしていた。
年齢は8歳だという。
ザリガニを見てはしゃぎ、何にでも好奇心旺盛。
学校も、カサネが楽しそうにしているから興味が沸いて見に来たのだと言っていた。
そして、カサネのことを。
兄として、慕っていて。
俺のことも、兄と呼んた。
かなり広い枠組みを兄と呼んでいるようだったけれど。
俺にとって、兄という存在は。

「クロに相棒になってほしいと頼んだのは8歳のときだった。
兄貴に裏切られたのも、8歳のとき」

「俺にとって一つの転機だった。
契約は10歳だから、あっちがもっと大きな転機だったんだけど」

「……まるで、クソガキ時代の俺を見ている気分だったよ。
疑うことを知らなくて、兄貴のことも大好きで……
世界が、何でも面白そうに見えていた、あの頃」

「変な話だとは思うよ。嘘付きなくせに、俺は騙されやすい。
平気なフリをしてるというか、そういう誤魔化す系の嘘は
結構鋭いと思ってるんだけど」

「しょうもない嘘だとか、悪意のある嘘だとか。
そういうものを嗅ぎ分ける力が、どうにも弱いらしい」

「…………きっと」

「見なければ、知らなければ。
変わらなければ、ずっと同じ縁が続くと思いたいんだ」
酷い話だろう?
嘘付なくせに、人からの嘘を恐れているのだから。
救えないな。