RECORD

Eno.482 真琴田 万司の記録

屋敷の中にひしめくもの_改稿

正室だ側室だ、時代遅れの概念だと思う。
だが神秘を相手取る血筋にとっては未だに重要なしきたりだ。

神秘に対抗する力を保つのみならず、より強大に育てるため。
同様に神性を持つ血筋との婚姻もすれば、時に近親婚もする。
多くの妻を娶るのも、そのためだ。

そうして多くの子から、一番強い力を持つ者が跡を継ぐ。

『次期当主にあなたが選ばれました』

ある日、母上は私にそう告げた。

『これからは、より気を引き締めなさい。
 人々を護るため、正しい道を選ぶため。
 母はずっとあなたを見ていますよ』

静かで厳しい声。しかし、

『しかし』

母上は珍しく微笑んだ。

『よく頑張りました。
 母はあなたを誇りに思います』


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数日後、私たちは立派な屋敷の前にいた。

ここが、人々を護り続ける一族の本家。
正しく力を振るい、神秘と戦い続ける人々の総本山――

頼もしくも誇らしいはずのその姿に、何故か私は不安を覚えた。