RECORD

Eno.232 月影誠の記録

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「ほんまに何から何まで世話んなってすまんな。
 お前の部屋、邪魔すんで~」



「ええねんええねん。今更やろ。
 ちゅうか最初から変な見栄張らんと俺を頼ったらよかったんやって」



「あんときはもうこれ以上迷惑かけんように、とか、
 関西の奴らとはもう関わらんつもりやったから。
 ……一部例外はあってんけど」



「俺もその例外に入れろや。
 いっちゃんお前と付き合い長いん俺なんやぞ」



「すまんて。まあほら、御覧の通り
 俺はあれからお前のお陰でごっつ立ち直ったからよ」



「ほな今日はお前の近況報告を日ぃ暮れるまで聞かせてもらうからな。
 俺を安心させろ。せやないと東京に返さんからな」



「言うと思ったわ。せやから今日はお前に俺が平穏に過ごしとるっちゅう
 証拠を持ってったったわ」



「おらっっっ くらえっっっ
 俺の世界一可愛い彼女の写真っっっ!!



「ふっ、俺はあらゆるゲームをプレイしてった。
 そんな簡単にダメージを食らったりなんか」



ウワーーーッッッ!! ごっつ可愛えやんけ!!
 は??? 控えめ健気系女子? こんな可愛え子がお前の彼女?
 は? ずるい。寄越せ



「俺のもんやからやらんが?」



「あかん。無理。直視でけへん。可愛いがすぎる。はよ仕舞え」



「相変わらず女子に弱いなお前。
 ほんならここで変わりまして出て来るは……」



「くらえっっっ!!
 こっちが親友と親切な友人!!



「はぁっ はぁっ くっ、開幕でっけぇダメージを食らったけど
 次は野郎の写真やろ。そんなんでダメージくらったりなんか」



ウワァアアアアアァアアア!! 面が良いいいいいいい!!
 お前の友人の顔面偏差値高すぎやろ。なんで?
 お前のクラスの顔面偏差値東〇大学か? 俺お前のクラスやなくてよかった」



「伏字の意味ないやろそれ」



「いや、野郎2人の顔が良すぎるやろ。美形と美形やん。
 お前も美形なんやぞ。ホストでも開くんか?」



「そのホスト、2人恋人持ちやし1人は片想われやねんなぁ」



「あ、あとこないだカラオケ行ったからその写真も見せたろ。
 盛り上がりのええクラスとされるらしい」



「…………」



「マジで顔面偏差値高ない? 可愛いとイケメンしかおらんやん。
 どないなっとんねんお前のクラス。
 あとこないだも遊びに行ってまた遊びに行ったん? 仲良しか?」



「お前も来るか?」



「女子を直視でけへんって理由で
 女子の少ない理系クラスに推薦入学した俺に言う言葉か?」



「せやったら男子校行けや」



「花は要るやろ」



「けったいなやっちゃなぁ!!」







「……ほんまのこと言うとな」



「俺は今日、俺と同じ高校に来い。
 うちやったら俺の親もお前の事情をよう知っとるし、
 上手いことかくまうこともできる。
 お前をあのカスから守ったることもできる」



「高校も大学も行く金の面倒見て、
 それ返したい言うんやったら卒業後にゆっくり返したらええ」



「……そう言うつもりやってん」



「……うん」



「……は~~~、こないに幸せで充実してますアピールされたら、
 これもただのお節介っちゅうこっちゃん。
 本気で提案しようとした俺がアホやんけ」



「そうやって、本気で俺のこと心配して手ぇ貸してくれる翼やから」



「俺は、お前のこと大事な親友やって言えんねんで」



「せやからこうやって……今日も、お前んとこ泊まりに来れた。
 電話するまではもう来ぉへんつもりやってんで?」



「何回目か分からんけど。これからも頼むわ、翼」



「…………は~~~~~~~~~~。マジで変わったなあ、お前」



「そっちゃときついやろ、事情分かってもらえんで」



「事情を話したとしても、現場を見てもろたわけとちゃう。
 知らん事の方が皆多いんやで?」



「せやなあ。そのおかげで、いい意味で厳しいで。
 けど、俺には必要な厳しさやから」



「頑張ってお前らから『独り立ち』するわ」



「……独り立ちは別にええんやけど」



「マジで崩壊して手遅れになる前にはその悩み打ち明かせよ。
 ガチでお前の悪いクセやからな」



「分かっとる。……なあ、翼」



「おん?」



「俺に、あの日。ザリガニ釣りを教えてくれてありがとおな



「…………」



「……ふん、どういたしまして」