RECORD
開かずの扉_08

「まずこれが全体像で」


「で、俺の記憶だとたぶんここまで来て、こう」
「今の俺たちの現在地がここってわけだ」


「アイツはまあ牢屋ん中突っ込んどいたから暫くは出てこねえと思うけど、
バレたらちゃんと終わりな気がするのでそれまでに脱出な」

「…………」

「おーいよたー、訊いてるかー。血足りてる?
登山用に鉄剤持ってるけど食う?」

「鉄……?」

「おう鉄。鉄食う?」

「た、たべない」

「そかあ〜。なんか考えてる?
俺ここのこと何もわかんねえからレクチャープリーズ」

「れく……?……
……案内番、置いてきちゃった……から」

「置いてきちゃったな。気になるか?」

「汚くないかなって……」

「まあ汚くはあるだろうな……
しゃーねえよ、追っかけられながら逃げ道探すの流石にキツいし」

「……」
「……僕は、逃げないよ」

「そーいやさっきも言ってたな……
ぶっちゃけなんで?好きってわけじゃないだろ、この場所」

「うん」

「…………」

「ここから僕がいなくなったら」

「みんな……たぶん、嬉しいと思う。
死んだ方がいいんだよ。僕は。その方がみんなにとって、嬉しい」

「死んだ方がいい……」

「んなことねえけどなあ。……そんで?」

「……でも」

「僕が外に出られたんだから。
きっとまた、外を出て、空を見る人がいる」

「空を見て、星をきれいって思って、
……好きになる人が、きっといる」

「僕が何もしなかったら」
「何もできないまま死んじゃったら──」

「……その子の空も、否定される」

「だから、僕は逃げないよ。
逃げない。……みんなに、星を、知ってほしい」

「……へー。いいじゃん。立派だと思うぜ、そういうの。
ま、じゃあ俺から言えることはないが……」

「それはそれとして出るの手伝ってくんね?」
「お前も手段は持ってて損ないだろ いろいろ」

「……わかった。
でも、僕も……ぜんぶはわからない」

「ああ、全部じゃなくていい。お前の知ってることを教えてくれ。
んまあ目下気になるのはあいつが言ってた“開かずの扉”ってやつと……」
「あとお前、アレ明らかに死んでたよな。なんで生きてるのかは聞いときたい。
さっき別れる前に言ってた大竈ってやつも」

「わからない」

「わかんねえか〜」

「ふわって、浮くときがあるの。頭がふわってなって……
眠くないのに目を閉じて、起きたら痛みがなくなってる。
傷は、変わらないけど……頭とかは、なおる」

「なんか不老不死界の中でもゾンビタイプの不老不死だな……」

「ぞんび」

「んで、開かずの扉ってのは?聞いたことはあるんだろたぶん」

「……わからない」

「わかんねえか〜」

「案内番とか……奉行番が、話してるのを、聞いたことがある。
でも、場所はわからない。……どれだけ山を下りても、出られないから、
それで僕はずっとここにいて……」

「俺もワン詰んだなあこれ」

「…………ごめんなさい」

「謝んなって。そも俺の不法侵入なんだぜ。
じゃあ大竈は?これならわかるだろ」

「わかる……!」

「よし」

「大竈は、ものが何でも出てきて」

「何でも!?」

「静かにして」

「ッス」

「……ずっと火がついてて、消えないの。
みんなが勝手に使っちゃったらいけないから、竈番が見張ってる。」

「ものを出すときは、火の神様にお願いしないといけない。
お願いして、だめなものだったら、出てこない。
……食べ物とか、お洋服とかは、出てくる」

「新手の四次元ポケットみてえな竈。
その竈番ってやつが目印になるってワーケ?」

「うん。部屋の前にいる。
……大竈の部屋、気になるの?」

「こういうのはわかるとこから潰さねえと始まらねえのよ。
その竈番ってやつから事情聴取もできそうだし。
あとシンプルに気になる」

「……何が欲しいの?」

「そりゃもちろん超快適空調服……」
「って言いたいとこだが、まあここから出る手段になりそうなモンかな〜。
それか武器的なサムシング」

「あ!ちょっと待て。ふつーにスルーしてたけどお前その格好寒くねえの?」

「え……」
「…………まあ……?」

「先に言えや!!!!これ着とけ!!!!」

「ええ……」