RECORD
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「……敵対怪異の討伐、確認!」

「皆お疲れさ~ん この時期忙しい大人が多いから
わんこの手も借りたいねん。助かったわ」

クロ
「ウォウ!!」
(訳:狼だ!!)

誠
「イベントが集中しがちですよね、この時期。
お力になれたら幸いです」

「おまけに皆が皆戦えるんとちゃうからな。
ほんで、南側は人多いけど中部って見放されがちやし」

「流石兵庫の「謎」と言われがちな部分よなぁあっはっは」

誠
「笑ってる場合あったら村おこしし……てました。すみません」

「にしても」

「誠、ええ動きするようになったっちゅうか」

「えらい理性的っちゅうか。
いや動物っぽいんは変わらんねんけど、なんやろな」

「クロと仲良うなった?」

「そうそう、そんな感じ!
なんか東京行く前より、息の合い方がようなった気ぃするわ」

誠
「お、本当ですか? ありがとうございます」

誠
「最近、ちょっと自分の戦い方とか理由を思い直す機会に恵まれたので。
その影響かもしれませんね」

「や~ ひよっこのときのあのたどたどしさもないなったし、
最初のクロのあのハラハラした様子なんか
授業参観を見守る親っぽかったけどな」

クロ
「ウォウ! ウルルルルァッ!」
(訳:仕方ないだろう! 子供に危ない橋を渡させているのだぞ!?)

誠
「じゃあ今はそれだけ信頼してくれてるってことなんだ」

クロ
「…………」

クロ
「…………フンッ、ウルル」
(訳:…………ふんっ、まさか)

誠
「分かりやすいな」
本能を抑えるために、クールダウンを挟む。
……ふと、恋人のことを考える。
彼女は裏世界の方で……恐らく、何か危険なことに足を突っ込んでいる。
急に部屋に来て様子がおかしかったこともあったし、死にかけたこともある。
その理由は深く聞かなかった。話されることもなかった。
頼る術こそ話したが……多分、あくまで彼女にとって俺は『最終手段』。
裏世界で一緒に何かを成すことも、頼られることもないだろう。

誠
「―― 裏世界では、俺は求められていないらしい」

誠
「それについてとやかく言うつもりはないよ。
心配をかけたくないとか、巻き込みたくないとか。
そういう感情から来てるんだろうな、って分かってる」

誠
「第一、頼れって言うほども俺自身は強くない。
俺自身の戦い方も危なっかしいらしいし。
頼りたくないだろうな~って分かるよ」

誠
「それに、秘密を全部共有しなければ親密になり得ないってわけでもない。
隠し事も、嘘も。良き人間関係を築く上で大切なことだ」

誠
「…………」

誠
「……あの強さや、芯のブレなさは。
孤高、って表現するのが似合うよね」

誠
「寂しさを纏った、孤独な強さ。俺にはないものだ」

誠
「俺が今、望む強さは」

誠
「最終手段として頼られたときに、期待外れにはならない強さ」

誠
「何かあったときに、正しく在るための強さ」

誠
「そして、それはクロがいないと成立しない」

誠
「だから俺はこれからもクロと一緒に戦うよ。
獲物を狩るということもそうだけど。
こっちの世界では一心同体の相棒なんだ」

誠
「……魂で結ばれている。そう言えるくらいになりたいね」

クロ
「…………」

クロ
『……急にどうした? 恥ずかしいことをペラペラと……』

誠
「そっちだって。尻尾ぶんぶん振ってて説得力ないな」

誠
「―― 要するに、これからもよろしくってことだよ」

クロ
『よくもまあ、私達と対等になろうとなど
頭が高いことを言うようになったな』

クロ
『……これが、我々……神と人と、本来あるべき姿だったな』
きっとこれが。
俺達が示す『信仰』の形だ。