RECORD
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心音から電話がかかってきて、それを取った。
一瞬びくっとしてしまうのは、やっぱり両親や兄貴のせいなんだろうな。

心音
「……というわけで、
何とか裏世界にも一人で顔を出すことができました!」

誠
「お、やったじゃん。この短期間でそこまでできるようになるの凄いよ」

心音
「えへへ、ありがとうございます。
こっちは優しい人もたくさんいて、私なりに頑張れそうです」

心音
「あ、でも……戦うことはちょっと、諦めたんですけど」

誠
「……? 諦めた、っていうのは?
もう戦いに行かなくていいってこと?」

心音
「あぁいえ、そういうわけではなく」

心音
「……できないことはできないでいい、苦手なことは苦手でいい。
役割分担が大切だ。そう言ってくれる人がいたんです」

心音
「で、私は全然戦えませんから。異能もそうですし、痛いのは嫌なので……
命のやりとりが、私はできそうにありません」

心音
「だから、すみませんが……
戦うのは、これからも全部お任せいたいです」

誠
「…………」

心音
「…………あ、あはは」

心音
「いい、迷惑ですよねぇ……
私がもうちょっとこう、頼りになればよかったんですけど」

誠
「心音」

心音
「はっ、はい!?」

誠
「俺を頼ってくれてありがとう」

誠
「……俺もさ、同じだったんだと思う」

誠
「裏のアヤメは俺を頼らない。
そりゃあそうだ、アヤメからすると俺はどうしようもなく頼りないし。
復讐も、俺自身関与する気がないからそれでいい」

誠
「けど、ちょっと寂しかったんだと思う。
求められてないんだな、って思って。
裏の俺は対等じゃあなりえないんだろうなあって思って」

誠
「……俺自身、命のやりとりが好きで、同時にそれが嫌で。
周囲には気を遣わせてばっかりだったから」

誠
「純粋に俺を頼ってくれるのが、凄く嬉しいんだ」

心音
「…………誠さん」

心音
「…………うん」

心音
「……あの、もしよろしければなんですけど。
誠さんのこと、本当にお友達として接してもいい……かな?」

誠
「え、俺は友達としているつもりだったんだけど」

心音
「ええと、そうじゃなくって。敬語もやめて、さん付けもやめて。
いつもの私で話せるようになりたいなって、思ったの」

心音
「もうちょっとちゃんと、人と関わっていきたいから。頑張りたいから。
だから、そのきっかけになってほしいなって」

心音
「……あ! 横恋慕とか興味ないからね!?
そういうつもりじゃないからね!?
誠君のことはそういう目で見れないからね!?」

誠
「えっなにこれ。告白されて秒でフられた? 身に覚えがあるな」

心音
「あるの!?」

誠
「……ははっ」

誠
「よろしくね、心音。年齢なんて気にしなくていいから。
俺はアルバイターで、患者で、傭兵で。
けれど、間違いなくここで出会った友達だよ」

心音
「……!」

心音
「うん! よろしくね、誠君!」
役割分担。できないことはできないでいい。
きっと俺も、俺の求める強さを求めれば。
足手まといや期待外れにならない強さを持っておけば、それでいい。
俺が欲しい力は、クロと一緒に。

誠
「…………そっか。寂しかったんだな、俺。
一人で頑張るその強さに、俺のことが映っていないことが」

誠
「あーあ、待つ立場っていつもながらしんどいな。
……けど、一人で突き進みたいっていうのはよく分かる。
触れられたくない痛みは、俺から言い出したこと」

誠
「不要、ではないって分かってるから。
俺は俺で、寄り添える人に寄り添って、幸せを願うよ」

「それが、俺達が理想とする『神』としての在り方だから」