RECORD
Eno.232 月影誠の記録
11/19
早朝。この後は八千代さんに挨拶をして、北摩に戻って荷物を置いた後学校へと向かう。
ハードスケジュールだけど、移動時間が殆どない俺達にとってはちょっと忙しいくらいだ。



親友の家を出る前に軽く挨拶をする。
来たときより少し増えた荷物を抱えて、また会おなと約束を交わす。
握手をして、そのまま追加の紙袋の荷物を1つ、ぶら下げられる。



中を見れば、探していたものが入っていた。
それは自分のものではないけれど。間違いなく、自分が居た痕跡が残っているもの。





何かとぶっきらぼうな物言いが多いけれど、いつもの照れ隠しだと知っている。
ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向く。長い前髪に遮られて表情は分かりにくいのだけど、
反応が分かりやすいせいでいまいち隠れていない。
相変わらずの反応に、目頭が熱くなりながらも思わず笑ってしまった。





相変わらずの言い様だ。しっしっと手で払われて、今度こそ俺はこの場を後にする。
まだ日が昇らず、空気は凍てついている。ほう、と吐いた息が白かった。
人知れず、適当な場所から裏世界へと入る。
翼は新幹線を使うと思ってるだろうけど、俺の交通手段はクロだ。






そうして裏世界を経由して、関西から関東へと俺達は帰る。
長かった帰省も随分とあっという間だったな、と思い返す。
確かに最後の出来事は堪えたけれど、同時に強く納得している自分が居る。
もしも、あそこで涙を流して帰還を歓迎されでもすればどうだっただろう。
そのとき俺は、母親を母親だと認識することができただろうか。
こういう人なんだと、確信して受け入れてしまっている。
だから……あまり、悲しいとは思わなかった。
再び、北摩へと足を踏み入れる。
裏世界と大差ない、けれどどこか眩しい朝焼けの空に、思わず目を細めた。
今日もまた一日が始まる。
何でもない、穏やかな一日が。
ハードスケジュールだけど、移動時間が殆どない俺達にとってはちょっと忙しいくらいだ。

誠
「世話んなったな」

翼
「こちらこそ。最後の方いらんトラブルが起きたけどな」

誠
「まあ、あれは俺の自業自得やし。しゃーないわ」
親友の家を出る前に軽く挨拶をする。
来たときより少し増えた荷物を抱えて、また会おなと約束を交わす。
握手をして、そのまま追加の紙袋の荷物を1つ、ぶら下げられる。

誠
「……これは?」

翼
「俺のもんやけどやるわ。俺は卒業してから1回も見たことあらへんし」

誠
「……まさか」
中を見れば、探していたものが入っていた。
それは自分のものではないけれど。間違いなく、自分が居た痕跡が残っているもの。

誠
「でもこれ、そしたら翼のんは」

翼
「ええねんええねん。見たなったらお前んとこ行ったらええ。
そもそも卒業してからこっちは1回も中身見とらんねん」

翼
「それになくなるわけとちゃう。お前が預かるだけや。
無くしたらどつきに行くから覚悟せえよ」

誠
「…………っ」

誠
「…………おう」
何かとぶっきらぼうな物言いが多いけれど、いつもの照れ隠しだと知っている。
ふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向く。長い前髪に遮られて表情は分かりにくいのだけど、
反応が分かりやすいせいでいまいち隠れていない。
相変わらずの反応に、目頭が熱くなりながらも思わず笑ってしまった。

翼
「何わろてんねん。はよ行け」

誠
「すまんすまん。やっぱお前は俺のこと大好っきゃなって」

翼
「は? きっしょ。
今のでさぶいぼがこんな美しく乱立したわどないしてくれんねん」

誠
「俺はお前のこと好っきゃで」

翼
「やめろやめろやめろ何男同士で愛し合ってんねん
そういう趣味あらへんわ」
相変わらずの言い様だ。しっしっと手で払われて、今度こそ俺はこの場を後にする。
まだ日が昇らず、空気は凍てついている。ほう、と吐いた息が白かった。
人知れず、適当な場所から裏世界へと入る。
翼は新幹線を使うと思ってるだろうけど、俺の交通手段はクロだ。

クロ
『今年も無事に終えたな』

誠
「うん。去年は八千代さんのところにお世話になったけど、
今年は翼のとこにお邪魔できて楽しかったな」

クロ
『……最後のさえなければいい息抜きになっただろうにな』

誠
「クロも気にするじゃん。ほら、俺は御覧の通りピンピンしてるから」

誠
「……だから、大丈夫。大丈夫だよ」

クロ
『……そうか』
そうして裏世界を経由して、関西から関東へと俺達は帰る。
長かった帰省も随分とあっという間だったな、と思い返す。
確かに最後の出来事は堪えたけれど、同時に強く納得している自分が居る。
もしも、あそこで涙を流して帰還を歓迎されでもすればどうだっただろう。
そのとき俺は、母親を母親だと認識することができただろうか。
こういう人なんだと、確信して受け入れてしまっている。
だから……あまり、悲しいとは思わなかった。
再び、北摩へと足を踏み入れる。
裏世界と大差ない、けれどどこか眩しい朝焼けの空に、思わず目を細めた。
今日もまた一日が始まる。
何でもない、穏やかな一日が。