RECORD

Eno.504 沸田 悠次郎の記録

番頭日報:50

文化祭だぞッ



「うむ。準備もいろいろあったが…なんとか当日を迎えられたな」



「プリクラ、たくさん人が来るといいなと思うし」



「あちこち楽しそうな場所も多そう」



年1のお祭り、楽しんで行こうではないか!はーっはっはっは!!







む、一年の時の文化祭は何をしたのかって?

何をした…だろうか?
確か飲食店などをやった覚えが有るが…ふんわりとしているな。

まあ、どうでもいいことだぞ。

当然覚えているはずがないのだ。
架空の物語はつめられていない。
そんなものは、ないのだから。






──では、有る話を。
有る話を。

男は描くことを好んでいた。
だから、文化祭の日がある日には、ペンキや絵の具片手にクラスを闊歩していたものだ。
大道具の色塗りをしていた。
自分のクラスがすめば、他クラスの手伝いなどもして。
絵の具の香りがしている。
肌に色が染み付いている。

ああ、でもそれは。

なによりも、心が弾んだ。
染まる色合いの鮮やかさにはずっと魅了されている。
生きている心地がすることだった。
自分の思い描く色合いに染められていく木材を眺めていた。
ムラなくなれたら嬉しかった。



「何より、自分がそういうことが好きだった」




そんな昔の話だ。
彼の話ではない。
彼の話。