RECORD

Eno.249 遊暮 夏響の記録

俺は

俺は可愛い自分が好きだ。
鏡に映った自分の姿を見ると、幸せな気分になれるから好きだ。
それに、可愛いと色んな人に褒めてもらえる。自己肯定感も上がると言うモノ。
でも、可愛いって大変だ。
肌の手入れや髪の手入れ、全てに気を使わないといけない。
肌が荒れたら化粧ののりが悪いし、髪が痛むとぼさついて清潔感が無くなる。
可愛くいるためには、努力とお金が必要だ。
可愛いあの子も、あの子もあの子も、皆、頑張っているのかな。尊敬する。

俺はお母さんが好きだ。
おしゃべりがあまり好きじゃなくて、寡黙なお母さん。
ちょっと怒りん坊だけれど、機嫌がいい時はとっても優しい。
頭を撫でてくれた時は、嬉しかったな。

俺はナツキが好きだ。
俺の双子の姉。二卵性?とか言うので、似ているけど同じじゃない。
いつも一緒に遊んでくれるし、ナツキがいると、どんなことでも遊びに変わる。
遊びの天才だと思っている。ナツキといると退屈しない。

俺はお父さん…のことはよく知らない。
よく家に遊びに来る男の人達に、お父さんですかって聞いて怒られたりした。
お母さんと一緒に遊んだりしているから、あの時はそうだと思ったのだけれど…
どうやら違うらしい、お母さんにも怒られた。

でも、一度だけお父さんに会ったことがある。
公園でナツキと遊んでいたら、お父さんが声をかけてきた。
最初はだれか分からなかったけれど、お父さんだって教えてもらった。
どうやら俺達はお母さん似らしい。
でも、用事があったのはナツキにだけみたい。
ナツキを車に乗せて、お父さんはお家に帰っていった。
確か、小学生になる前だっけ。

お母さんにその事を伝えたら、特に何も言わなかった。
ナツキがお父さんと暮らすって知っていたのだろう。
ナツキ、元気に過ごしてるかな。

俺はこの旅行鞄が宝物だ
ナツキが居なくなってから、家に届いた革製の鞄。
中に思い描いた玩具が入っている不思議な鞄。最高のおもちゃ箱。
ずっと一緒に過ごしたかのように、良く手に馴染む玩具たち。
この鞄のお陰で退屈しない。