RECORD
Eno.4 水野 ユミの記録
小さい頃、事故に遭ったことがある。
諸島と繋がる街中の飛行場で起きた、そこそこの火災事故。
犠牲者はゼロ人だったらしいが、墜落も計器異常もなく、今なお原因不明のままなのだとか。
……炎に崩れる建物の中、どこまでも伸びるような、黒くて大きな影。
怯えることしかできない幼い私を、誰かが抱きあげて助けてくれた。
『よく頑張ったね』――って、優しい声で言われながら。
そんな記憶は遠い昔の話だけれど、今でもほんのり思い出すことがある。
焼き焦がすような炎の熱さと、その中から拾い上げてくれた、優しさと共に。
そして――
永遠の黄昏の中で、それに再び出会って、再び誰かに助けてもらった、そのとき。
『ああなりたい』――差し伸べられた手をみて、そう思っている自分がいたことに初めて気付いた。
#00
小さい頃、事故に遭ったことがある。
諸島と繋がる街中の飛行場で起きた、そこそこの火災事故。
犠牲者はゼロ人だったらしいが、墜落も計器異常もなく、今なお原因不明のままなのだとか。
……炎に崩れる建物の中、どこまでも伸びるような、黒くて大きな影。
怯えることしかできない幼い私を、誰かが抱きあげて助けてくれた。
『よく頑張ったね』――って、優しい声で言われながら。
そんな記憶は遠い昔の話だけれど、今でもほんのり思い出すことがある。
焼き焦がすような炎の熱さと、その中から拾い上げてくれた、優しさと共に。
そして――
永遠の黄昏の中で、それに再び出会って、再び誰かに助けてもらった、そのとき。
『ああなりたい』――差し伸べられた手をみて、そう思っている自分がいたことに初めて気付いた。