RECORD

Eno.279 葦原奏翔の記録

32∶願いの成就【葦原奏翔】

『廃ビルにて騒音や騒ぎがあって困っているからどうにかしてほしい』

ある怪奇から受けた依頼により廃ビルに向かったのだが其処で出会ったのは俺を虐めてきた元クラスメイト共と助けを求めた時に見捨てられた挙句にその虐めを隠蔽しようとした中学時代の教師、音霧だった
否まあ…俺が音霧を証拠などで追い詰めて支配下に置いた結果、虐めの実態が白日の下に晒され元クラスメイト共がある意味で罰を受けたとか俺を恐れて支配下へとかそんな感じだったのだが…
あの中には己の親にボコボコにされた状態で謝りに来ていた奴も居たし噂では経歴が傷物になった奴等も居た
音霧含め家庭崩壊をした者達も居たな、これも噂に聞いてたが当人達の口から事実であることは知った

「それについては責められたが正ッッッ直、お前等のせいだろと」



虐めの原因とて今にして思えば狩本が起こした事件でマスコミに付き纏われ振り回されてた奴らが様々を損なった腹いせに行った謂わば八つ当たりだったし、そもそも俺とて狩本のせいで生死の境を彷徨う事になってた訳で
もとを辿れば狩本が自分の虐待やハラスメント、アル中などのせいで息子が自決に追いやったのを『息子を負かして優勝した俺のせい』だと逆恨みして事件を起こしたのが始まりだし狩本や振り回してきたマスコミ達に対して怒りの矛先向けるべきだろうがと
優勝した事でその息子が病気の母との約束を果たせないまま母が亡くなり肉親である父があれだから絶望して……ときっかけになってしまってるのはそりゃあ認めるがな
其処はもう何か獄中死後に怪奇になってた狩本と再会してそれらを含めケリを付けたからいいが
どいつもこいつも人の言葉や夢を潰そうとしておいてなーにが俺のせいだクソったれと思うわ
大体『お前が俺達の事をバラしたせいで表に居られず日蔭者に』だと???俺はこの件を他者には一切話してないというか自らケリを付けた事を態々蒸し返して晒す馬鹿が何処に居るんだと言う話だろうが
しかも俺とてお前等のせいで表で大好きな演奏を出来なくされていたんだってのによ
大方、大事にした結果、噂となって住民間にて広まって表に居られなくなったり家庭崩壊が起きたとかそんなところだろう

「しかも今度はそれで俺の夢を壊そうという復讐計画を企ててたっていうのだからマジで彼奴等…」



それで八十神という神々から神秘を与えられ悪感情を増幅されていい様に扱われてたとか実に救いようがない
後に割って入ってきた音霧により酸素濃度薄められて気絶、捕まったし本当に夢を潰そうとしてきたとは言え
皆からの救援が来るまでの間、神秘持ちの不良10名をある程度弱らせるまで単独で応戦したの大変だったんだが、たくっ

「…だが、まあ…今回は助けてくれた、んだよな………」



皆が助けに来てくれて
夢を壊そうと彼奴等から受けた怪我も完治して
最愛が俺が傷付けられた怒りで半ば暴走していたけれど何とか食い止めることができて救うことができて
進化したメタフィジカで八十神によって暴走した音霧が行使した絶対真空から皆を護る事が出来て
誰一人欠けずに生還し此度の実行犯を全員確保して………

「…浮かれたりはしない、こんな都合よくはきっとそうない
それに八十神の件はまだ解決していないしそれはきっと氏神様大国主の氏子でもある俺がやるべきなんだろう
だが、嗚呼……漸く"報われた救われた気がした"んだよな」



大国主様には感謝している……彼から願いが叶うと言われなかったらきっと不信のまま、トラウマのまま助けを呼ぼうとすらしなかっただろうから
竜胆にも感謝している……約束がなかったらきっと踏み出すことが出来なかっただろうから
俺に託してくれた蒼真達にも感謝している……あれが無かったらきっと俺は俺を認める事が出来ずにいただろうから
そうして助けてくれた皆にも感謝している……音霧の様に俺の声や覚悟を無かった事にしなかったのが理解出来たから

「・・・何か小っ恥ずかしくなってきたな、おい」



あー……兎に角、言いたいことは
助けてくれてありがとう、って事だな
怒りは無かった事にならないし過去は変わらない…後悔も己が無力さなども無くなりはしないし怒りや憎しみも絶望も健在ではある、あるんだが
何処かスッとした清々しい気持ちもあって
だから幼き頃の俺はきっと此度の件で救われた筈なんだよ…きっとな



【葦原奏翔】