RECORD

Eno.232 月影誠の記録

12/21

……何度も心音にサーフを送った。
全部バレている。取り繕ってもすぐにバレる。
彼女は嘘を見抜くのが上手かった。自分の隠した本音を見つけるのが上手かった。
どうしてほしい、というのが言わなくても伝わる。
だから助けてくれる安心感があって。一緒に居ることに抵抗がなくて。
―― 恋人のことが、恋しくなる。


1年の子と交流会のときも。今日のプレゼント交換会のときも。
クリスマス会のお誘いも蹴って、2人で何でもない、けれどちょっと特別な日を過ごした。
葛山もそうだけど、自分にとって嘘を暴いてくれる人は安心できる人でもある。
化けの皮をはがした姿を見ても何も思わない。自分でも脱ぎ方が分からないそいつを取り払ってくれる。
だから、嫌だと思うことなく……安心できるのだろう。



「……上手く振る舞えたかな」



クリスマスはもうそこまで迫っている。
もう数日耐えれば楽になれる。

去年はここまで苦しくなかったのは。
今年は苦しくて息苦しさを覚えるのは。


「……ここに居たいっていう証なんだろうな」



自分と皆の間に引いた境界線を取り払ったから。
その線がなくなったとしても、踏み出せるかどうかは自分次第。
線引きはあくまで可視化しただけだ。自分の居場所は外側なのだと、自身が忘れないための。

なくなって、踏み出そうとして。
そうして躊躇して、外側で見守っている。

楽だな、と。楽しいな、と。
いつか甘受していた心を振り返って、なつかしさを覚えた。


―― 本当は、自分だって
そんな本音に嘘をついて、何でもないフリをする。

誰も狼の人真似には気が付かない。