RECORD

Eno.1807 七條 くもりの記録

月光②



――大丈夫

それは、おまじないの言葉。
人にかけた時に、自分にもかけていた。

――大丈夫、大丈夫よ

本当は、誰かに言って欲しかった。
ずっと、ずっと、アタシが存在することを肯定してほしかった。
求められたアタシじゃなくて、ありのままのアタシを。


それをくれたのはあの子のお月様。


だからね、伝える勇気をもらえたの。
話し合えば伝わると思っていた。
だって家族だもの。

でも、そんなものは水泡のように弾けてきた。

それもそうよね。
アタシ達は似た者だった。

あの人達がアタシを知ろうとしないで幸せを決めつけたように、
アタシもあの人達を知ろうとしていなかった。
箱庭に囚われているのは自分だけだと決めつけていたのはアタシ。


アタシは結局『幸せの答え』を
1人で見つける事が出来なかった。


それは目の前にあったのに。
それを心の中で受け止めることが出来なかった。
用意された幸せ以外を欲しがらないように目を逸らしていたから。

人からの気持ちを受け取ることに難があったのでしょう。
両親からの気持ちを真っ向から受け止めていたら精神を保っていられなかった。


でも、もう向き合える。


お月様が教えてくれた。
お月様はアタシを愛してくれている。
包み込んでくれる存在が、
全てが嫌になったら攫ってくれる手がある。

大切な子たちの言葉に、
箱庭に囚われた両親の言葉に向き合いましょう。


怖くても、辛くても、月明かりが道を照らしてくれるのだから。