RECORD

Eno.1461 篠崎 駿の記録

Heart to heart

12月24日、クリスマスイブ。

その日のリビングは、案の定いつもより賑やかだった。

みんなで飾り付けたツリーがキラキラ光り、手作りケーキの甘い香りが部屋中に広がっている。

俺と雪ちゃんは、チキンの買い出しから帰ってきた所だった。

「おかえりー! 遅かったな、駿! 雪も!」

陽介が大声で出迎えた……いや、出迎えたのはいいけど、陽介の姿を見て俺は思わず吹き出しそうになった。

陽介は、頭に立派な角がついたトナカイの仮装。鼻の先は赤く光るピカピカの赤鼻で、首には鈴がついてる。動くたびにチリンチリン鳴る。

「それ、相当本気だな」

「まぁ、折角のクリスマスですし思いっきり楽しむのもいいんじゃない」

彰が、椅子に座ったまま言った。

そんな、彰の格好は……白いふわふわの雪だるま。

頭に黒いシルクハット、首にマフラー、手には枝みたいな棒を持ってる。

動くのが面倒くさそうで、ほとんど座ったままだだ。

クエちゃんが「クェー!」と鳴きながら、彰の膝の上に乗ってる。

クエちゃんには小さなサンタ帽がついてて、とても愛くるしい。

イドロはケーキを切り分けているがそんな彼女の仮装が一番目立ってる。

全身緑のモミの枝みたいな服に、頭から足までオーナメントと電球がびっしり。

まさに歩くクリスマスツリー。電球はちゃんと点滅してる。

「駿様、お帰りなさいませ。雪様も……あら? 駿様、どうかなさいました?」

俺は陽介に渡された服を見て、ため息をついた。

俺の衣装は陽介たちがデート中に無理やり用意したらしい。

緑のマントにオーナメント、頭に星の飾り。動くたびにガチャガチャ音がする。

「いや…俺はケーキかよ!?」

「ふふ、素敵ですよ。クリスマスといえばケーキですから」

雪ちゃんが、くすくす笑いながら俺の隣に立った。

雪ちゃんは……サンタクロース。

赤いコートに白い縁取り、帽子をつけている。

翠色の眼鏡がサンタ姿に不思議とマッチしてる。かわいい……いや、すっごくかわいい。

「駿君……私、こんな格好でいいかな? みんなが用意してくれたんだけど……」

「ああ、似合ってる。最高だよ」

陽介がニヤニヤしながら鈴を鳴らした。

「よし、全員集合! 仮装クリスマスパーティー開始だぜ!」

みんなでテーブルを囲む。イドロのケーキは絶品で、陽介がトナカイダンスを披露して笑い、彰が雪だるまのまま動かずにツッコミを入れる。

雪ちゃんがサンタ帽を少し直しながら、俺の手をそっと握ってきた。

「……みんな、ありがとう。こんな楽しいクリスマスイブ、初めて」

俺も握り返す。

「ああ……俺もだ」

外は雪が静かに降り積もる中、店内は温かくて賑やかで、笑い声が絶えない。

陽介がプレゼントを配り、彰が珍しく笑い、イドロが優しく見守り、雪ちゃんが俺の隣で幸せそうに微笑む。

そして、俺は……ただ、みんながいるこの瞬間が、かけがえのないプレゼントだと思った。

メリークリスマス。

この仮装だらけの、温かくて雪のように優しい夜を、ずっと忘れない。