RECORD
Eno.232 月影誠の記録
12/25
25日。その日は熱を出した。
気温差……というよりも、少し無理をしていたのが身体に出てしまったのだろう。
1日このまま寝ていれば治るのだけど、冷蔵庫の中には案の定何もない。
治したくないわけじゃないから、素直に助力を呼ぶことにした。
報告も兼ねて、この日は心音を呼んだ。
葛山は確か25日は家族と過ごすと言っていたはずだったし。






お見舞いに来てくれた彼女の声が小さくなっていく。
震えて、今にも泣きそうな声で「ごめんなさい」と、何度も何度も呟いた。
俺の贈りものを、心音は「良くない」と言っていた。
「こうなる」と何かを確信して、24日あのように彼女は動いて。
……思った通りには、ならなかったのだろう。
少しして、意を決したように顔を上げる。










―― 本当ならアヤメは、この日だけでなく、毎日家族皆と過ごすはずだった。
けれどそれは彼女の世界の王子によって叶わなくなった。
理不尽に平穏が奪われて、トラウマを植え付けられて。
人を斬っても何とも思わなくなるほど、追い込まれて……今、彼女は復讐のために、生きている。
突き動かされるくらいに、アヤメにとって家族が大事だった。
かけがえのない人たちだった。何よりも、大切な人たちだった。
そうじゃなかったら、復讐のために人生を捧げるなんてできないだろ。
だから。
己が隣に居ることは間違いなのだと。
彼女は俺のために生きているのではないのだと。
俺はあくまでも彼女を支えるだけに留まるべきなのだと。
己の心がどれだけ重く、狂暴かをよく知っているから。

どうか、これからも、この後も。
どうか、どうか、俺なんかに構わずに自分のために生きて。
気温差……というよりも、少し無理をしていたのが身体に出てしまったのだろう。
1日このまま寝ていれば治るのだけど、冷蔵庫の中には案の定何もない。
治したくないわけじゃないから、素直に助力を呼ぶことにした。
報告も兼ねて、この日は心音を呼んだ。
葛山は確か25日は家族と過ごすと言っていたはずだったし。

心音
「……え、プレゼント喜んだの!?」

誠
「うん。……ありがとうね、心音。お陰で泣いて喜んでくれた。
きっと、これからも夢に向かって頑張ってくれると思うよ」

誠
「……アヤメにとって、とても大事な家族だったんだ。
大事だってことを忘れないで、祈りの先になったら……俺も、嬉しいよ」

心音
「……違う、私は」

心音
「私は、そうじゃない。
込める想いも、贈るものも、なんだっていいって、自由でいいって思った」

心音
「でも、私は…………
誠君に苦しんでほしくて、助力したんじゃないよ……」
お見舞いに来てくれた彼女の声が小さくなっていく。
震えて、今にも泣きそうな声で「ごめんなさい」と、何度も何度も呟いた。
俺の贈りものを、心音は「良くない」と言っていた。
「こうなる」と何かを確信して、24日あのように彼女は動いて。
……思った通りには、ならなかったのだろう。
少しして、意を決したように顔を上げる。

心音
「……私は、ちゃんと聞こえてるよ」

心音
「私はちゃんと、誠君の心の音、聞こえてるから」

心音
「全部全部、ちゃんと聞こえてるから、だから……」

心音
「…………」

心音
「……来年も、必要だったら共犯になるよ。一人にはしないから。
私といるときは、そんな心の音させないから」

心音
「……天堂さんから言うべきだよ、これだって……」

誠
「……俺は心音が、何をそんなに気にしてるか分かんないや。
だけど来年も共犯になってくれるなら……それは、気が楽だな」

誠
「だけど、本当に俺は……喜んでくれて、良かったって思ってるんだよ」

心音
「…………」

心音
「……嘘吐き」
―― 本当ならアヤメは、この日だけでなく、毎日家族皆と過ごすはずだった。
けれどそれは彼女の世界の王子によって叶わなくなった。
理不尽に平穏が奪われて、トラウマを植え付けられて。
人を斬っても何とも思わなくなるほど、追い込まれて……今、彼女は復讐のために、生きている。
突き動かされるくらいに、アヤメにとって家族が大事だった。
かけがえのない人たちだった。何よりも、大切な人たちだった。
そうじゃなかったら、復讐のために人生を捧げるなんてできないだろ。
だから。
己が隣に居ることは間違いなのだと。
彼女は俺のために生きているのではないのだと。
俺はあくまでも彼女を支えるだけに留まるべきなのだと。
己の心がどれだけ重く、狂暴かをよく知っているから。

誠
「―― 不釣り合いの感情は、隠し続けて誤魔化した方が幸せだよ」
どうか、これからも、この後も。
どうか、どうか、俺なんかに構わずに自分のために生きて。