RECORD

Eno.137 夢倉 サツキ/ゆめ子の記録

ねぇ……聞こえる……?

ねぇ……あなた………
こっちを見て……

私の声……聞こえてるんでしょう……?


「………!」

裏世界に迷い込んだ時、どこからか声が聞こえた。私を呼ぶ声。
怖くなって必死に逃げた。きっと私は悪い夢を見ている。応えちゃだめだ。
でも道はどんどん細くなって、行き止まりになった。
声はまだ付いてくる。まずい……このままじゃ……

夢なら覚めてほしい。私は観念して後ろを振り返った。
そこにいたのは知らない人。でも生身の人間だった。

何故か私は、ほっとした。
手を引かれてまた知らない道を歩いて、気が付いたら元の場所に戻っていた。

~~~~~

家に帰ってきたけど、まだどこか現実感がない。
私は疲れ果てて、ベッドに倒れ込んだ。このまま眠って何もかも忘れたい。
でも。

ねぇ……聞こえる……?

ねぇ……あなた………
こっちを見て……

私の声……聞こえてるんでしょう……?


また声が聞こえる。おとなしく寝かせてほしいのに。

『………ねぇ!』

すぐそばで聞こえてハッと振り返ると、知らない女の子が枕元に立っていた。


悪い夢は、まだ終わっていなかった。