RECORD

Eno.175 水元イチノの記録

秒速30kmの生みだす幻覚

 入試とか就職とか結婚とか、いわゆる区切りってもんがあるけどさ、残念なことに人生はその後も続いていくわけで。
 ハッピーエンドのその先が語られないのは、もはや誰も望んでいないからなんだよ。観客も、本人たちですらだ。
 そんなことすらわかっていないやつらがなんぞや続編を作ったりするんだろうな。

 歪んだ形で願いを叶える神様は存在する。
 意味も意図もわからない。でもあるんだ。

 でもあったな、そんなゲーム。
 区切りを超えた後の主人公が、区切りの前に巻き戻される。自分だけ記憶を保持していて、変わらない結末を見続けるんだ。
 最終的に結末を変えることができたんだけど、それでもまた、同じ時間まで巻き戻されるの。理不尽だよね。
 自分だけ結末を知った状態で、無為に時間を巻き戻され続けるのはキツいだろうなと思う。

 ああ、思うともさ。

 タイムリープもののゲームをやっていると、時間ってなんなんだろうと思う。
 1時間も1世紀も人間が決めた区切りでしかなくて、どうしようもなく時間は現在から未来へと進んでいく。
 過去を再経験することは不可能らしい。そりゃそうだ、それは神様の領域。フィクションだもんな。

 人の祈りが神と奇跡を生み、人の恐れが妖と災禍を生む。
 神秘は人々に功罪をもたらし、人々は神秘を畏れていた。
 はた迷惑な話だ。誰がそれを望んだ? 神秘は共存も克服もできない。

 1月末が近い。もう8年だってさ。
 人間なんかにはわからないくらいささやかに公転はおこなわれて、今日よりちょっとだけはやい時間に、明日も太陽はのぼるらしいよ。